こんにちは。マスコットのビギナー君です。
さて、みなさん! ついに11月がやって来てしまいました! ああどうしよう……。
え? どうして困っているのかって?
それはですねえ……グフフフフ……。
11月になるとどうしてもある悲しい出来事を思い出してしまうからです。
僕は実は小学生の頃に亀を飼っていました。川沿いを犬と一緒に散歩をしていると、なんと! そこで甲羅干しをしていたのです!
犬は激しく吠えかかりましたが、亀は泰然自若としていました(あるいは寝ているだけだったのかもしれませんが……)。
とにかく、小学2年生だった僕は、その姿に——落ち着きに——一目惚れしてしまったのです。僕はその亀をこっそり拾い、家に持って帰りました。
ちなみに僕の父、そして同居していた祖父は非常に厳しい人で、生き物を連れてきてはならん! といつも言っていました。
この犬も最初はこっそり飼っていたのですが……やがてバレ、どうしよう……と思っているうちに、二人ともメロメロになっていたのでした(ということはさほど厳しくなかったのか……?)
とにかく、まずは隠しておく必要があったのです。しかし僕は亀が何を食べるのか知りませんでした。それでコンビーフやシリアル、あるいはハバネロなど、いろんなものを食べさせようとしたのですが、まったく口を付けませんでした(あるいは寝ているだけだったのかもしれないのですが)。
どうしよう、と思っているときに、ある夢を見ました。不思議な夢でした。亀が僕のことを食べているのです!
僕ははっと起きて、そうか、自分自身をあげればいいんだ、と思い付きました。それで翌日、命を投げ出す覚悟で、上半身裸になり、お腹の上にその亀を乗せたのです!
いやあ、悲しかったですね。だってまだ死にたくなかったですから。でも自分で連れてきた以上、責任というものがあります。その日は学校にも行きませんでした。ただ布団の上でじっとしていたのです。涙を流しながら。
やがて母親が来て、びっくりして言いました。「どうしたの、あんた?」
僕は事情を説明しました。亀を連れてきたんだけど、何も食べないんだ。不思議な夢を見て、その通り自分を餌にしようと思い付いたんだ、と。
母親は笑い転げました。その話を聞いた父も、祖父も、祖母も笑い転げました。犬はただワンワンと吠えていましたが。
結局父がホームセンターに行って、亀用の餌を買ってきてくれました。でも翌日には「本来いるべきところに返してあげようね」ということに話がまとまり、泣く泣く元いた河原に返しに行ったのでした。
たらふく餌を食べた亀はたぶん眠っていました。僕は父と一緒に、亀をそこに置き、夕暮れの光を浴びながら、並んで家に帰ったのでした。
ああ、あの亀は今どうしているのか。11月になるといつもそのことを思い出すのです。そしてあの夢の意味。あれはいったい……本当は何を意味していたんだろう……と。
ということで皆様、亀は人間を食べないみたいです。でも「絶対」ということはありませんので、ご注意を。責任は取れませんから。
それでは、また!
さて、ついに11月になりました。いやあ、いいですね。11月。冬の予感を孕 んだ、晩秋の乾いた風。夕方の悲しげな光。稲刈りの終わった田んぼの寂しげな雰囲気……。いやあ、いいですね。
と褒めちぎったあとなのですが、実は私は11月というのが嫌いでした。というのも中学生の頃のある出来事を思い出してしまうからです。
実は中学校一年のとき、私はクラスメイトのある女の子に恋をしていました。空手の有段者でありながら文学少女である特異な女の子で、みんなからは「空手マスター」と呼ばれていました。男の子相手にも物怖じせず、言うべきことははっきり言う。弱いものいじめが大嫌い。時には上級生にも歯向かう、という実にエネルギッシュな女の子でした。
私は当時はヒョロヒョロのガリガリでしたので、彼女とは大した接点もありませんでした。実際最初は見下してさえいたのです。人間にとっては「知性」こそが最も重要だと。へ、空手だって? そんなもの! というわけです。
私は休み時間は一人でジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』を読むのが常だったのですが、そのとき彼女が近付いてきて言ったのです。「それ、面白いよね」と。
まさか! と私は思いました。こんな田舎の中学校に『ユリシーズ』を読んでいる女の子がいるとは! その日一晩は激しい嫉妬で寝付けませんでした。しかし翌日になるとその気持ちがなぜか恋心に変わっていたのです。
私たちはそれから『千夜一夜物語』や『デカメロン』、『カンタベリー物語』、あるいは『神曲』、はたまた『ピクウィック・ペーパーズ』に至るまで、これまで読んだ本の感想を話し合いました。それは素晴らしい時間でした。同級生たちの中には私たちのことを「夫婦」とか「バカップル」とか読んで囃 し立てる者もいましたが、そういう奴らは彼女がぶっ飛ばしてくれました。彼女は頭が良かったですから、先生にバレないように顔の下を狙うのです。「みぞおちよ」と彼女は言っていました。「みぞおちを狙いなさい!」と。私は空手の技も教えてもらいました。
いやあ、あの頃の薔薇色の日々。学校に行くのが楽しみで仕方がなかったですね。時に見栄を張るために読んでもいない本の話をしたのですが、そういった場合にはすぐにバレてしまうのでした。「そういうのカッコ悪いよ」と彼女は言いました。私は赤くなって、恥ずかしさのあまり校庭を全力で3周走った後に戻ってきて、土下座して謝るのでした。
しかし、11月になって、彼女が急に引っ越してしまったのです。お父さんの仕事の関係だということでした。どうもあとから知ったのですが、彼女のお父さんは政府の諜報機関の職員だったのです。彼女はロシアに移住するということでした。「そんな……」と私は言いました。「ロシアなんて……寒いに決まっているよ。君はこの町に残りなよ」と。
「私は世界を見てみたいの」と彼女は言いました。「ドストエフスキーの、プーシキンの、ツルゲーネフの母国をこの目で見られるのよ。こんな機会ないじゃない?」
「この町だって素敵だよ」と私は絶望的に言いました。
「そうだけど、まずはいろんな経験をしなくちゃね」
私は長い長い手紙を書きました。数ヶ月後に、ロシアから長い長い返事が来ました。それにさらに長い返事を書いたのですが……その返事は来ませんでした。私はひどく落ち込み、学校を休み、食欲を失い……。しかし冬を越えたあたりには別の女の子に恋をしていました。ブラジリアン柔術の天才と呼ばれている少女でした。
と、そうやって人生は回っていきます。彼女は何をしているのだろう? まだロシアにいるのだろうか? 分かりませんが、そのような出会いと別れの記憶は私を温めてくれます。もし機会があったらあなたのそのような話も聞いてみたいのですが。
ということで、11月の思い出でした。寒いので風邪などひかないよう。ひいいたらひいたで心身を休める良い機会だと思いましょう。何事も捉え方次第です。それでは、また。

