違和感

 違和感は知らぬ間に僕の部屋に住み着いている。いつだってそうなのだ。僕が呼んだわけでもないし、どうしても来なければならない必然性もない。しかしいつもいるのだ。そして僕の邪魔をする。 「そう、毎日ダラダラしてつまらなくない...

カバ山さん

 カバ山(やま)さんは僕の会社の上司で、いつも笑っている。あまりにも大きく口を開けて笑うので、顎(あご)が外れてしまうんじゃないかと心配になるほどだ。でも少なくとも僕の知る限りにおいては、彼の顎は外れたことがない。二、三...

2024年、8月、近況

 ようやく暑かった八月も終盤に差し掛かり、かろうじて(少なくとも前よりは)過ごしやすくなってきた今日この頃ですが、皆様はいかがお過ごしでしょうか? 僕はまあ似たような毎日を送っております。はい。  いやあしかし暑かったで...

容器 (2)

『容器 (1)』の続き 二  Tが入院した、というメールが来たのは、それからほぼ三ヶ月後の、十二月の半ばのことだった。アルバイトが終わって、夜十時半にアパートに帰り、それが届いていることに気付いた。知らない番号からのもの...

容器 (1)

一  測量師の木(き)村(むら)和(かず)彦(ひこ)は仕事を辞めた。特に仕事内容に不満があったわけではない。給料は高くはなかったが、安定していたし、そのまま勤めていればいずれ昇給する見込みもあった。しかし同じ会社の上司た...