一人箱根駅伝に行ってきました(ロードバイク:合計338km)

 さて、ついに2025年がやって来てしまいましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか? 僕の方は……まあぼちぼち頑張っています。ときどき落ち込むことはありますが、「まあそれほどでもないか」と思うことも一日の中で何度かあり、適度な風が心に吹いて、なんとか持ち直している状況です。要するに……まあ普通の人と一緒ということか。いずれにせよ実際に●●●集中し、自分と向き合って文章を書くという行為が僕にとっては結構重要みたいです。でもときどき逃げようとするのですが。はい。

 ということで箱根駅伝。箱根駅伝というのは――知らない人はあまりいないと思うのですが――毎年1月2日と3日に東京の大手町(読売新聞社前)から箱根のあしノ湖まで、往路107.5km、復路109.6kmの計217.1kmをたすきをつないで走る駅伝大会である。正式名称は「東京箱根間往復大学駅伝競走」という。本当は関東学連が主催する「地方大会」なのだけれど、1920年から続いている伝統とか、テレビ中継による人気によって、実質的には日本で一番人気のある駅伝大会ということになっている(「全日本大学駅伝」、「出雲いずも駅伝」という全国大会はちゃんと存在する。しかし箱根駅伝の出場を目指して、長距離の有力選手は関東の大学に大半が進学してしまうため、戦力差が大きくなっている。第100回大会〈2024年〉では全国の大学が予選会に出場できたが、結局は関東勢だけが本戦に出場することができた)。

 それで……まあそのほとんど同じコースをロードバイクで走破してきたわけです。問題は僕がロードバイク初心者であることと(まだ始めて一ヶ月)、住んでいる八王子からスタート地点の大手町までおよそ59km(最短距離ではなく、走りやすい多摩川沿いのルート)ある、ということである。

「箱根駅伝」往路のルートです。復路はこのコースをほとんどそのまま戻る。僕の場合それに加えて八王子から大手町までの59km(往復118km)ほどを走る。結局は迷ったり迂回したりでさらに長くなってしまったけれど。


 ロードバイク自体は家族から譲ってもらったもので、盗難を避けるために室内保管していたのだけれど、全然乗っていなかった。普段はずっとランニングをしているし、いろいろと道具類を揃えるのとか、メンテナンスとか、面倒くさいことが多いので敬遠していたのだ。

 しかし今回ちょっと思うところがあって(つまりもう少しあとにもっと長距離を走ってみようと思って)、必要な道具類を揃え(これが高い)、乗り始めてみることにしたのだ。

 始めて三回目のライドで「多摩川サイクリングロード」を端っこの海が見えるところまで行って折り返し、八王子まで帰ってきた。112km。1年と7ヶ月ほど前にママチャリで東京から仙台まで(あのときはおよそ380km)走った経験があるから、ロードバイクで112kmなんて余裕だろ、と思っていたのだが……寒い。帰りが夜になってしまったのもあるけれど、風がびゅうびゅう吹きつけて、ものすごく寒い。それを知らなかったのと、補給をまともにやらなかったのもあって(ダイエット中だった)、帰ってきてから「ハンガーノック」という状態になってしまった。頭がぼやけて、吐き気がして、手足が震えてくる。仕方ないからこたつに横になって、チョコレートを食べて、しばらくじっとしていた。やばくなったら救急車呼ぼうと思っていたけど……なんとか回復しました。ああよかった……。それ以来ロングライドには補給食を必ず持っていくようにしています。あとで分かったのだけれど、100km以上走る場合には(僕の足だと休憩込みで6時間くらいかかる)ある程度食べても太らない。それだけカロリーを消費するということですね。それで……その一週間後にリベンジということもあって、奥多摩湖に行ってきました。そこから「風張かざはりとうげ」という悪名高い(かどうかは分からないけれど、とにかくキツかった……)峠に行き、ほとんど足を着くことなく坂を登り切りました。たしか12kmくらいずっと登りだったような気がするな。その後30kmほど下り(檜原ひのはら村の方を通ってきました)。これがものすごく寒い。ロードバイクに乗るまでは分からなかったのだけれど、登りはすごく暑くなり(汗をかく)、下りはものすごく寒くなる。だからこまめに着ているものを調整することが必要になる。そのための衣類を揃えて……(これがまたお金がかかる)。そのときのライドが120kmくらい。一般車両には気を使うけれど、それよりも自分の脚力だけでこんなところまで来れるんだ、という喜びの方が大きかった。奥多摩湖は綺麗でしたが……(あんまり人もいなかった)、ゆっくりしていると寒いので、トイレに行って、戻ってきて、自分で握ってきたおにぎりを食べて、さっさと退散しました。

奥多摩湖

 その一週間後に「荒川サイクリングロード」に行ってみたいと思い、八王子から河口へ。早朝に出て、午前9時40分くらいに着いたかな。天気の良い日でした。都心の道路を走るのはかなり不安だったけれど、行ってみると案外大丈夫でした。交通量は多いけれど、ちゃんと自転車レーンも用意されているし(駐車している車で埋まっていることも多いのですが)、道幅も広いので、そんなに罪悪感を抱かずに済む。速い車たちはとっとと追い越してくれます。こっちが交通ルールを守ってさえいれば……まあ大丈夫、なはず。渋谷駅とか、皇居の前とか通って、「新砂しんすなリバーステーション」というところへ。すぐ先に海が見えます。普段海を見ない生活をしているので、なかなか素敵だ。遠くに船が見えて、波がキラキラ光り……。しかし出発しなければならない。この日は荒サイをずっと行ったらどこに行き着くのか……ということで、埼玉県北部にある「国営武蔵むさし丘陵きゅうりょう森林公園」(比企郡滑川なめがわ町と熊谷市にまたがっている)まで行ってきました。正確にここが終点なのかどうかはよく分からないのだけれど、とにかく僕が参照したサイトではここまで自転車道が整備されているということでした。最後の方は川沿いを離れて一般道を通る。全長80.3kmのコースだ。

新砂リバーステーション

 道幅が広く、たくさんのロードバイク乗りやランナーたちがいるのだけれど、とにかく走りやすい。ところどころ自転車のスピード出し過ぎをはばむためのゲートみたいなものがあって、ここを通り抜けるのは結構緊張する。最近メルカリでペダルと靴をくっつけるSPDシューズ(と専用ペダル)を買ったおかげで、走りやすくはなったのだけれど(きつい坂道で引き足が使える)、こういうときは慣れないと怖い。でもゆっくり行けば大丈夫です。マラソン大会のようなものが開かれていて、ゼッケンを付けたランナーたちの脇を通り過ぎていった。

荒川サイクリングロード。河口の近く。


 そういえばスタート地点近くのトイレに行ったら、たまたま同じタイミングで入っていたロードバイク乗りのお兄さんに話しかけられた(30代半ばから後半くらい)。「どちらから来たんですか?」と。どうも話を聞くと僕がかなり大荷物だったので(サイクリング用のリュックと輪行りんこう袋〈電車に乗るときに入れる袋。使う予定はなかったけど保険のためにサドルにくくり付けていた〉。サドルバッグ。リュックには100均の巾着袋をぶら下げていた……)、どこから来たのかと気になったそうだ。「あの、八王子です」と言うと、驚いていた。そして「今から熊谷まで行こうと思って」と言うともっと驚いていた(内心嬉しかったけど)。「八王子からここまで来て、80kmくらい荒サイを走って、そこからまた八王子に帰ります。大体230kmくらいですかね」と言うとさらに驚いていた。「強者だな」と彼は言っていた。「まだ始めて3週間なんですけど」と言うと、「ペース配分を間違えないようにね」と言ってくれた。我々はそこで別れたわけだけれど、まあこういうちょっとした会話が初心者には嬉しい。

 いずれにせよ結構順調に進んで、都心の信号地獄とは真逆のとにかく快適なライドを楽しむ。快適すぎていささか単調ではあったのだけれど。埼玉も北部に行くと田んぼが広がっていてものすごく田舎だ。ゴルフコースもあったな、たしか……。年末の土曜日で、なんとなくゆっくりとした時間が流れているという感覚がありました。その中をひたすら漕いでいく……。東京にいるときはサイクリングロードも人が多かったけれど、埼玉に入るとかなり少なくなる。誰にも邪魔されずに自分のペースで走ることができるのだ。なかなか良いコースでした。

埼玉県北部。荒サイ途中で見た景色。

 ゴール地点の「国営武蔵丘陵森林公園」からはまた一部荒サイに戻り、途中で入間川サイクリングロードに入る。荒サイほど道は広くないけれど、ここもなかなか走りやすい素敵なルートでした。僕はたしかママチャリで仙台に帰るときに一部このルートを使った。当時の記憶が蘇ってくる……けれど、日没を迎えてしまって、ものすごく寒い。途中道沿いのトイレに行って(寒いから本当は降りたくないけれど、降りないとしょうがない。冬の夜のライドは漕いでいる方がまだマシだ。止まると一気に冷える。カイロを貼っていても、やはり冷える)、そのあとは一般道を車に混じって走って帰ってきた。238kmだったかな。途中間違って引き返したりしているうちに、予定よりも長くなってしまった。午前5時40分に出て、19時40分くらいに帰ってきた。休憩込みで14時間。いやはや。サイコン(サイクルコンピュータ。距離やスピードや気温やペダルの回転数なんかを記録できるもの。GPS機能付きで、走ったルートをあとから確認できる。メルカリで買った)によれば4000kcalほど消費したらしい。基礎代謝と合わせると6000kcalは優に越えるな……。いっぱい食べたけど、2日後に体重を測ったら300gほど痩せていた。ロングライドは凄い……。身体が冷えるから「脂肪が燃えているぜ!」っていう実感はランニングほどないのだけれど(ランニングは走れば走っただけ暑くなる)、知らぬ間にエネルギーを大量に消費しているのだ。だからこそハンガーノック(エネルギー切れ)や脱水には注意しなければならないのだけれど。

 その日のライドが結構楽しくて、230kmがこれならもっと行けるな、という欲が出てきてしまった。お尻は痛かったけど、前にママチャリで仙台に行ったときはもっと痛かったし、膝も痛かった(あのときはこれが一番ひどかった)。でも今回は膝は痛くない。うん、悪くない。もらったロードバイクは初心者向けの、玄人くろうとからすれば一番グレードが低いものだけれど、僕にはこれでも十分軽い。「タイヤを良いものに変えると全然走りが違う」とかネットで見ちゃうと買いたくなってくるのだけれど……すでにいろいろ買い過ぎている。専用のタイツにウェアにライトに工具にリュックにバッグにサイコンにオイルにグリスに予備のチューブにボトルにボトルケージに簡易スタンドに……数え上げるとキリがない。ずっと節約生活をしていたのに痛い出費である。でも心のどこかで「何か自分のやりたいことが見つかったら金をそのために派手に使うんだ!」という思いがあったのかもしれない。その部分の――無責任な――僕が衝動買いを楽しんでいるのかもしれない。まあ仕方ない。僕も聖人君子ではなくて、人間ですからね。そういうときもあるでしょう。犯罪を犯しているわけではないから許してください……と自分に言い聞かせる。

 とにかくそのエントリークラスのロードバイク(2020年頃に発売されていたイオンバイクの「KAGRA R-1」というモデル。そう、あのイオンがロードバイクを出していたんです。今では「KAGRA」シリーズはクロスバイクを出している。ハンドルが曲がっていないもっと街乗りに適したやつですね。僕のはハンドルが曲がっている〈ドロップハンドルということ〉。だから一応「ロードバイク」なんだと思う)に乗って、もっと長い距離を走りたい、という気持ちが出てきてしまったわけです。問題はそれには時間もエネルギーもかなり取られるということ。僕は一応作家志望のアルバイトなので……本当はそんなことに時間を使っている余裕はないはずなのです。まあ今までずっとランニングに使っていた時間とエネルギーをそこに当てればいいわけですが、メンテナンスにも時間と手間がかかるし、一度ロングライドに行くとそれこそ10時間以上もかかる。翌日は意識がぼおっとしている。目も充血している。果たしてこれでいいのか? うーん。でも鍛えればもっと楽になるかもしれないしな……とか考えている。

 いずれにせよちゃんと小説は書き続けています。そうしないと自分の本心を満足させることができないから。ロードバイクのことを考えている方が平和だし、精神の「負荷」は少ないのだけれど、それだけでは駄目だ。「駄目だ●●●」という声が聞こえてくる……。たとえ賞が取れなかったとしても、誰も読まなかったとしても、自分のために●●●●●●僕は書かなければならないのです。まあその気持ちが変わったら方向転換するだろうけれど(その点結構自由である)。でも今のところ「方向転換しよう」という気持ちよりは「小説を書きたい」という気持ちの方が大きい気がする。というかなんだかんだいってそれしか自分にはないじゃないか、という思いが9年前から変わらずにあるわけです。その気持ちが生き残っている(燃えている・流れている)限りは書き続けると思う。それが義務であり、自分自身の一番の楽しみだと思うから。

 ということで結構忙しい。バイトをしながら自転車用具をネットで買いあさり(だんだん沼にハマりつつある……)、筋トレのノルマも今まで通りこなして……坂を上るために体重を減らし(これは今のところ順調。一ヶ月で3kg近く痩せた)、チェーン清掃をし、小説を書き……。なかなか大変だ。バイトは年末で忙しいし……。まあそれでも「やりたいこと」が何もないよりはマシだよなと思ってなんとか乗り切る。そして今年の1月3日である。

 そういえば本題はこれだったのに前置きが長くなってしまった、すみません。物書きの悪い癖かもしれない。いずれにせよ荒サイ238kmを走ったあとで、もっと行きたい、という思いがふつふつと湧いてきて、ルートを作っているときに(Ride with GPSというサイトで簡単に作れる)、あれ? 箱根って結構いい感じの距離じゃん、と思ってしまったのだ。それも八王子から直接箱根に行くのではなく、正規の駅伝ルートを通ったらどうなるだろう……と。

 もちろん電車で大手町まで行けば距離はもっと短くなる。しかしそれでは300kmは越えない。300km以上行ってみようぜ、なあ、ほら、君は前に仙台まであの重いママチャリで行ったんじゃないか。余裕だって。自分を鍛えろよ、という悪魔の声も聞こえて(彼は言うだけ言って責任を取らない。いつものことだ)、そのルートを作成した。うん、なかなかの距離だ。金曜の夜にバイトが終わったら寝ないで出発しよう。22時間くらいで帰ってこれるな。きっと(これが甘い計算であったことが判明する)。夜9時に出て、翌日の夜7時に帰ってくる。素晴らしい。やってみよう……というわけである。

 問題は風邪気味だったことで、前週の230kmライドが実は身体に結構こたえていたみたいだ。熱はあんまりないけど、咳が出る。鼻水が出る。こんな状態で行ってもいいものか……。直前まで迷っていた。でも出発することにする。本物の箱根駅伝は青学が脅威の強さで優勝していた。テレビでその場面をチラッと観る。俺もここに行くんだ、と思う。補給食を大量に準備して(できるだけ途中で買い物したくないので)出発する。9時の予定が、なんだかんだやっているうちに10時を過ぎてしまう。まあいつものことだ。

 出発する……けれど、寒い。まあ一月の夜なのだから当たり前ではあるのだけれど、ここから日の出までは気温は上がらない。とにかく暗い中、川沿いの道を、なんとか漕ぎ進めていく……。

 途中までは先々週も、先週も通った道。走りやすい多摩川サイクリングロードだ。人は少ない。星が綺麗に見える。世田谷区、二子ふたこ玉川駅のあたりで一般道に入る。ここからは信号が多い。起伏もあるけれど、まだまだ脚は元気だ。ただ風邪気味で、空咳からせきが出る。コホンコホン。こんな状態で340km近くも走れるのだろうか、と思う。

 夜の都会を走るのは結構楽しい。信号で何度も足止めされるのはうんざりするけれど、当初心配していたほど怖さはない。結構道も広いし、一応自転車レーンも用意されている。巨大なビル群が、息を潜めて僕を見下みおろしている(ような気がする)。深夜は飛ばすタクシーが多いので、彼らに轢かれないように気を付ける。

 大手町に着く。読売新聞社前。「絆」の銅像が立っている。ここがスタート地点。およそ59km走ってきた。近くのベンチでおにぎりを食べる。うん。まあ美味うまい。でも寒い。早く出発しなくちゃ……。昨日(正確には一昨日おとといの1月2日)の朝、ここから選手たちは出発したのだ、と場面を頭の中に再現する。でも寒い。いいから早く出発しよう……。

「絆」の像。彼もまた寒そうだ……。

 ということで「一人箱根駅伝」のスタートである。1月4日、午前1時50分。皇居を右手に見ながら南下。日比谷公園でトイレを借りて……港区、品川区、大田区、そのあとで六郷橋を渡り(車道は自転車通行禁止なので、歩道〈自転車通行可〉を渡る。これについては事前に調べていた)川崎、横浜へと行く。このあたりは都会なので、信号がものすごく多い。いやはや、全然前に進まない。でも辛抱強く漕いでいく。そういえばこのあたりで一回目のトラブル。道を間違えて、慌てて戻ってきたところで、止まったときに左足の靴がペダルから外れず、立ちゴケ。歩道にかっこ悪くも転がってしまう。なんとか立ち上がって、出発したのだけれど……あれ? なんかおかしいぞ……と思ったら、左足のクリート(ペダルに嵌め込むための部品)が完全に横向きになっている。よく見るとボルトが一本抜けているではないか! どこにもない……。さっきコケた場所だ! ということで慌てて戻る(すでに数百メートル先に進んでいた)。戻ってライトを点けて探してみると……見つかった! ここでリタイアかと思ったので、一安心。ツールボトルに入れていた携帯工具キットを出して、なんとか締め直す。いやはや。たしかに今日は最初から靴がペダルから外れにくかったのだけれど、きっともともと緩んでいたんだと思う。それがコケた拍子に抜けてしまったのだ。増し締めをしていなかった僕の責任である。でも始めて一ヶ月の初心者だから、トラブルを未然に防ぐことはできないだろう、とも思う。まあこれで一つ身に付いたさ、と思って、先に進む。

 あたりは暗い。そして寒い。夜明けの気配はまだない。でも眠気がないことが一つポジティブな要素だった。週五のバイトが終わった夜に寝ないで出発しているのに(プラス風邪気味なのに)、ペダルを踏んでいる間は意識はしっかりしている。人間って結構丈夫にできているんだなと思いながら進む。

 ところどころ自転車で通れない道があるのに、勢いで進んで直前で気付いて止まる、ということが何度かある。駅伝の選手たちは交通封鎖があるから大丈夫だけれど、僕はもちろんそんなわけにはいかない。勝手にスタートして、勝手にゴールしようとしている、ただの「変な人間」である。だからいちいち戻ったり、ルートを変えたりして進まなければならない。スマホでマップを見なかったら、明後日あさっての方向に進んでしまっていただろう、と思う。

 とりあえず自分が作っておいたルートに沿って進む。途中コンビニや公園のトイレを借りたり、補給をしたりしながら先に進む。横浜市戸塚区のあたりで事前に調べておいた自転車通行禁止の区間がある。親切に迂回路を解説してくれていたサイトがあったので、その通りに進む。ちょっと分かりにくい道もあったけれど……なんとか箱根駅伝ルートに復帰することができた。そのあとは藤沢、ヶ崎へと進む。このあたりで海が見えてくる。

 日の出がこの辺だったと思う。朝になるというのは気分が良いもので、なんだか勇気が湧いてくる。とにかく寒さに悩まされていたので、少しは気温も上がるだろう、と思う。国道134号に入るととても走りやすくなる。片側二車線の道路で、一応左端に自転車用の青い矢印がまっすぐ続いている。ここを走っていけばいいわけだが……当然車たちには邪魔なわけで、結構気を使って走る。乗用車はある程度距離をけてくれるからいいけれど、気の立ったトラックなんかがわざと(だと思う。ほかの車はそんなことはしなかったから)ものすごく近くを猛スピードで通り抜けていく。そういうときは横風が発生してバランスが乱れる。危ない危ない。まあなんとか気を取り直して進んでいく。こういう人は必ずいるから仕方ない。死ななかっただけでも良しとしようじゃないか……。

夜明けは嬉しい……。

 本当なら綺麗に富士山が見えるはずなのだけれど、曇っていて一度も見えなかった(残念)。まあいいや。だんだん疲れてきて景色を見ている余裕もなくなってきていたし。しかし真冬なのにサーフボードを担いでいるおじさんとかいて、すごいなあ、と思った。道の左手に海が見えていた。なかなか素敵です。交通量が多くなければもっと素敵だったのだけれど。

 平塚、大磯、二宮、小田原と来て……ようやく箱根へと入る。海沿いの平坦な道が突然山沿いの道になる(印象を受けた)。夜通し走ってきて峠越えはきついな、と思いながらも、結構ワクワクしながら進んでいく。しかし予想外に車が多い。「箱根登山バス」も何台も何台も走っていく。別の観光大型バスも通る。当然反対車線から車が来ていると自転車を追い抜くためのスペースが無くなってくる。そういうときは壁に張り付くような形でやり過ごさなければならなかった。ほかの車たちも(たぶん)イライラしながら僕を追い抜いていく。申し訳ない……けどなんとか進めるから大丈夫っしょ、と自分に言いかせて進んでいく。気温はどんどん下がっていく。みぞれっぽいものが降り始め、だんだん雪に変わってくる。峠の天気が変わりやすいことを身をもって思い知らされる。それでも登りの最中は身体は火照ほてってくる。汗をかいている。上に着ていたゴアテックスのレインウェアを一枚脱いだ。その場で(登りの途中にあったチェーン着脱所のようなところで)補給食のサンドイッチとおにぎりを食べる。水分も補給する。うん、実にストレスフルだ。二週間前に行った風張峠もすごい坂だったけれど、こんなに交通量は多くなかったしな。みんな箱根で何をするんだろう、と思う。温泉か。酒か。麻雀か……。まあいいや。僕には関係ないし。ということで、登り再開。

 でもよく考えてみれば、箱根駅伝の5区の人はここを自分の脚で登っていくのだ。あらためてすごいな、と感心する。ギアを一番軽いものに入れて、なんとかペダルを回す。回している間は進み続けるのだ。どんなに遅くても……と自分に言い聞かせる。途中で涼しい顔をしたお兄さん(30代半ばくらい)に追い抜かれる。「こんにちは」と爽やかに挨拶された。「こんにちは」と返したけれど、風邪気味なのと前夜一睡もしていないのと、ここまでの疲れとで、こっちは余裕がない。ひどい顔をしていたはずだ、と思う。お兄さんは軽いペダリングでどんどん先に進んでいってしまう。きっとあのマシンは軽いんだろうな、と羨ましく思う。でももちろん脚力がすごいということもある。いずれにせよほかにも自転車乗りがいるんだ、と思うと勇気付けられる。この寒い中(プラス雪がちらついている)箱根を登ろうと思い立って、それを実行に移している人がほかにもいるのだ。温泉に行きたい人々だけでは成り立っていないのだ。この世界は。

 頑張って登り続け、「国道1号最高地点874m」という看板を過ぎると、少し下る。いやあ、楽だ、と思うけれど、ふと、下るということは帰りにまた登らなくちゃならないということだよな、と不吉なことが頭をよぎる。まあ仕方ない。すでに脚力は使い切った、と思っているけれど、休めばまた動くかもしれない(そして実際に動くのだ。不思議なことに)。今はとにかく芦ノ湖のゴール地点に辿り着くことを考えよう……。

 でも全身が疲れているせいで、頭もうまく回らなくなってしまっている。何度か道を間違えて、そのたびに戻ってきた(ちなみに箱根の温泉街を見たのは初めてで、結構びっくりした。こんな山の上にこんな街があるなんて! 高級そうなホテルや旅館もいっぱいありました。こんなものにびっくりするのは僕くらいかもしれないけれど)。芦ノ湖は綺麗な湖でした。しかし……寒い。雪が強くなっている。車が駐車場にたくさんいる。トイレを借りて……そのあとで箱根のゴール地点をカメラで収める。パシャリ。でもすぐに出発する。漕ぐのをやめると、ものすごく寒い。多くの人が家族や恋人と来ているけれど、僕は一人で、寒くて、一睡もしていなくて、風邪をひいていて……とにかくみじめだ。これ以上惨めな人間はいないんじゃないかと思えるくらい(でもきっといるんだろう。冷静に考えてみれば)。いずれにせよ早く峠をりないと、と思う。雪が積もってそれが凍結したりしたら大変なことになる。下り道でスリップして対向車にはねられる……なんてことはあってほしくない。だからなんとか一度下った道を上り、また「国道1号最高地点」に戻り、そこからはひたすら下りだ。しかし渋滞している。都会ならまだしも、こんな峠道で渋滞なんて! これは想像していなかったことだった。でも実際に起きている。あまり横を通り抜けたくはないけれど、このまま車と一緒に待っていては間違いなく低体温症になる。だからごめんね、と心の中で言いながら、どんどんすり抜けていった。峠を下った頃には渋滞は解消している。なんだか不思議なものですね、あれは。どこまでも続いているように感じられるけど……いつの間にか解消している。その後小田原、二宮、大磯と、往路と同じルートを通る。例の海岸沿いの道で、たまたま別のサイクリストたちと一緒になる。しゃべったりはしないのだけれど、5人くらいが並んで一列に走る場面もあった。こうなるとちょっと勇気が湧いてくる。知らない人が見たらグループライドだと思うだろうなと想像する。でも進んでいくと自然に解体されて、結局は一人になる(ただその後も別の自転車乗りと並ぶことはあった)。このあたりで二回目のトラブル。ライトの取り付け台座がぶらぶらしている。慌てて止まってたしかめてみると、たぶん下りの振動でネジが緩んでしまっていたらしい。携帯工具を取り出して(これがなかなか使いづらい。携帯性の方を重視しているからだ)なんとか締め直す。まあこれでいいだろう。この間もどんどん体温が奪われていく。

5区ゴール地点。あの坂を自分の脚であのスピードで登り切るというのはやはりすごい……。昨日の朝ここから復路がスタートしたんだな、と一瞬だけ思う(あとは震えていた)。
芦ノ湖。寒くて寒くて仕方がなかった……。

 箱根の峠を登り切ったときはもうヤバいかもと思っていた。体力は限界に近いし、風邪もひいているし、めちゃくちゃ寒いし、雪降っているしで、ショートカットして八王子に戻ろうかと思った。でも海岸沿いの道をほかのロードバイク乗りに混じって進んでいるときに、なんとか行けるかもな、と感じ始める。たぶん気温が上がってきた(峠をりると気温が変わる。天気も変わる)ことで、身体がちゃんと動くようになったんだと思う。とりあえず大手町のゴールまでは大丈夫だろう、と思う。でもそのあとは(また八王子に帰らなければならない)……ちょっと分からないけれど。

 そういえば書き忘れていたけれど、箱根の峠を下っているときにまたあの爽やかなお兄さんとすれ違った(たぶん同じ人だったと思う)。つまりその人は僕が必死に登っているときに追い越していって、そのあとすぐ下ってきて会釈をした(これは完全にその人本人だった)。そしてまた……登ってきたのではなかったか? あのきつい坂をもう一度登ろうとしていたのだ!(人違いでなければ、だけれど)。あんな爽やかな顔で、そんなクレイジーなことをするとは……。自転車という競技はなかなか奇妙だ、と思う。あるいはレースとかに出ている人なのかもしれないな、と僕は思う。

 僕が下っているときにほかにも自転車乗りとすれ違った(外国人のおじさんもいた)。走って登ろうとしている人たちも何人かいた。そういう人たちの存在は僕の孤独な心を暖めてくれる。どうもありがとう。クレイジーでいてくれて。

 藤沢のあたりで二回目の転倒。比較的狭い道で、渋滞していて、どうにも進めないので、歩道に上がらせてもらおう、と思ったときに、思ったよりも縁石が高くて、横滑りして、転んだ。格好悪いことこの上ない。膝を擦りむいて、このあいだ買ったばかりのサイクルタイツに穴が空いてしまった。いやはや。でもまあパンクしていないだけいいか、と思って、出発する。そういえば一回目の転倒の後に明らかにギアの調子がおかしい。後輪のギアだけなのだけれど、変えようとすると「ガタガタ……」と鳴って、少しの間変わらない。すると突然「ガタッ」と鳴って、変わる。二段くらい一気に変わることもある。そのあとも変な音がして、なかなかスムーズに変わってくれない。リアディレイラー(変速のためにワイヤーで動かす部分)が動いちゃったんだろうな、と思う。自分ですぐに調整できればいいのだけれど、僕にはそんな技術はないので、帰ってから直そうと思う。まったくこれで走れないわけじゃないし。でも結構ストレスでした。まだ直していない。これからやってみよう。まったく……。

戸塚の迂回路で撮った写真。まだ夜は来ていない……。

 横浜、川崎、と来たところで(横浜市って広いんだなあ、と走りながら実感する)、日が沈んでしまう。また夜がやって来たのだ! 当初想定していた時間からは完全に遅れてしまっている。まあいいや、と思う。今日はとにかく無事に生きて帰れれば満点だろう、と自分に言い聞かせて走る。何回休憩したっていいから、足を動かし続けるんだ! 問題は寒さである。カイロをおなかと背中に貼って、太ももにも貼って、足のシューズカバーの中にも入れているけれど、やはり寒い。休憩したいけど、休憩すると寒い。お尻も痛くなってくるし……。

 できるだけ大きな筋肉を使うようにする。お尻の筋肉だ。大臀だいでん筋。回転を意識する。押すだけでなく、引く●●んだ、と自分に言い聞かせる。そうすると結構スムーズに進む。かと思うと、信号で止まる。そんなことの繰り返し……。

 正直230kmを越えたあたりからはほとんど「楽しさ」というのはなくなってくる。あとは宗教的な苦行みたいなものだろう、と想像する。そして実際にそんな感じだった。ひたすら同じことの繰り返し。前方と後ろの車に注意しながら、右足を踏み出し、左足を引き上げ、左足を踏み出し、右足を引き上げる。それだけ。ただそれだけのことなのだ! だんだん「自転車」というスポーツそのものに嫌気が差してくる。はっきりいってこれに何の意味がある? と思ってくる(なんだか腹を立てている)。そもそもどうして俺はこんなことをやっているんだ? 小説を書いているべきじゃないのか? 間違いなくそうだ。どうしてこんなことを思いついて、やってみようとなんて思ったんだ? 暖かい場所で自分自身に集中していればよかったじゃないか? 風邪もひいているのに?

 でもここまで来てしまったからには、最初に決めたゴールまでなんとしてでも行き着かなければならない、とも思っている。妙なしつこさというか、粘り強さが僕の中には備わっていて(それは見方によっては短所にもなるのだけれど)、今回もそれが僕を動かしてくれた。まあちょっときついからって諦めるのはもったいないよ。ここまで来たんだよ? 東京はもうすぐだ。箱根往復、面白いじゃないか? やり切っちゃえよ。あとのことはあとのことさ。これだって君にとって重要なことのはずだ。まずやり切ってから考えろ。今はペダルを回すことだけを考えな。

 ということでまた六郷橋を渡り、大田区に入る。信号地獄。上り坂はきついけれど、上っている間はあまり寒くない。下りは楽だけれど、身体が一気に冷える。このあたりで第三のトラブル。ライトの充電が切れかかっている。こんなときのために予備のライトを持ってきたのさ……と思って取り出してみると、ほとんど充電されていない。まさか! そういえば充電したとき、「充電中」のランプが点いていなかった。接触が悪かったのかもしれない。でも大丈夫だろうと思い込んでいたのだ。ということでライトは二個あるのに両方瀕死という状況。モバイルバッテリーは二個あったから(一個はずっとスマホに使っていた)それで充電しながら使おう、と思う。でもなぜかタイプCのケーブルが入っていない。ライトニングとマイクロUSBのものはリュックに入っている。でもタイプCが……忘れてきたのだ●●●●●●●、と気付く。なんでこんなにヘマばかりしているんだろうな、と思う。きっと風邪をひいているからだ、と都合良く自分を正当化。まあ行けるところまで行って、そこで考えようと思う。そのまま大手町を目指す。

 実際の箱根の10区は1区とはちょっとだけ違うルートを通るらしくて、その通り進む。具体的には東京駅の東側まで行って、そこから大手町に戻ってくるのだ。でも僕はそんなことの感動よりも、ライトをどうするかの方に意識を奪われている。だって無灯火じゃ帰れないだろう。法律的にも、安全面においても。ライトがなければ障害物にぶつかってパンクする可能性が一気に増える。どうしよう……。

 結局目についたファミマに寄って、タイプCのケーブルを買う(無駄な出費)。寒い中外でモバイルバッテリーと接続。なんとか充電しながら使うことができた。いやあ、一安心。その後大手町のスタート地点へ。「絆」の銅像。帰ってきましたよ。いやあ……ヘトヘトだ。しかしあと59kmもある。甲州街道を帰ればもっと距離は短くなるはずだけど……そうなると交通量も多いし、信号で止まる回数も多いだろう。とりあえず事前のルート設定通り多摩川サイクリングロードを帰ろうと決める。その後芝公園でトイレを借り(また身体が冷える)、ベンチで残りの補給食を食べ(寒くて仕方ない)、再び出発。ここで第四のトラブル。ライトの台座がまたぶらぶらしている! 前に締めたところがまた緩んでいたのだ。もう一度ツールボトルを取り出して……。寒い中締め直す。なんとか直る。チョコレートを食べる。寒くて仕方ないが……なんとか生きて帰ろう、と思う。

帰ってきた「絆」。結局1月4日の1時50分にここをスタートして、19時53分に帰ってきた。18時間3分。今年優勝した青学は10時間41分である。まったく及ばない……。

 ここからは楽しみなんてない。モバイルバッテリーの充電が切れたらどうしようとヒヤヒヤしながら、疲れ切った脚を動かし続ける。多摩川沿いを走っているときに雪がちらつく。この寒い中グループで歩いている元気な若者も「あれ? 雪じゃね?」と言っていた。僕は一人孤独に漕ぎ続ける……。

 あとはひたすら宗教的苦行である。もう走りたくないのに、脚を動かさなければならない。風邪もひいていて、心底うんざりしている。こんなこと達成したからって何の得になるんだ、と思っている。でも止まったりしたら、もっと寒くなる。二度目の夜。寒くて寒くて仕方ない。ロードバイクなんてもう嫌いだ、と思う。怒りをぶつけたくなる。でもぶつけられる相手は自分しかいない。だって誰も僕にこれを強制はしていないから(止めこそすれ)。僕は自分で決めて自分でこの思い付きを実行に移したのだ。責任は自分で取るしかない。


 ということでなんとか帰ってきました。途中でサイコンの電池が切れてしまって、そこからスマホの別のアプリで記録を取っていたから、正確ではないけれど、大体338kmほどのライドである(1月3日の22時11分にスタートして、4日の23時50分に帰ってきた。計25時間40分ほど。休憩と信号待ちを除いて、ずっと漕ぎ続けていた……)。こんなのは長距離に慣れているライダーならなんてことないんだろうけど、僕にとっては実に久しぶりの300km越えライドである。いやあ疲れた。というかメンタルが削られた。もうロードバイク乗らなくたっていいや、とさえ思う。走っている途中妄想のように頭に浮かんでいたシャワーを浴びる。でもどれだけ浴びても、身体の芯の冷えは取れない。適当に切り上げて、軽く食事を取って(体重を測ったらあれだけ食べたのに1kg痩せていた。たぶん水分だと思うけど。結構驚きである)、歯を磨く。走っている途中は全然眠くならなかったのに、突然眠気がやって来る。次に目を開けたときはすでに9時間経過していた……。いやはや。そして翌日曜日は身体がうまく動かない。意識がぼおっとしている。両目が充血している。でもまあ、まったく何もできないわけではない。寒すぎたから、もっとちゃんとしたタイツ(今度は上下つながっているビブタイツ)をメルカリで探して、裏起毛のもっと寒いとき用のウェアを探して……。ってあれ? あれだけやめようと思っていたのに、すでに次のライドのことを考えている……。ということでもうちょっと僕のロードバイクは続きそうです。まあ終わってもいいと思ってはいるのだけれど(そしたらまたランニング生活に戻ります。ランニングはシンプルでロードバイクほど冷えないのがいい)、熱意とか好奇心とかがまだあるのなら続けるかも。プラス、すでに結構投資していて、このままフェードアウトするのがもったいない、ということもあるけれど。

 お金がないのに、より暖かい環境のためにウェアを買って(今は発送待ち)もう少し使い勝手の良いリュックを買って、お尻のクリームを買って……自転車に取り付けるフレームバッグを探して……としているうちにあっという間に時間が過ぎ去ってしまう。今日はさすがにまともな筋トレはできなかった。まあ回復の日、ということでしょう。意識が回復したらちゃんと小説書きに戻らなければ、と思って、今日はこれを書いていました。書き始めるまで疲れ切って何も思い浮かばないんじゃないかと思ったけど、まあ書けました。すみません。長々と。まあ無理に読んでくれと言っているわけではないので、どうかご自由に。

 ということで来週はどこに行こうかな……。近くの峠にでも行ってみようか、と考えている最中であります。着々と脚の筋肉は鍛えられている。どうもトラブルに見舞われると、次はここをこう改善して……と考え、諦めるよりは次に生かそうと決意する傾向があるみたいです。それは「ポジティブ」なのか? 無駄にしつこいのか? よく分かりませんが、とにかくまだ生きてはいます。皆さんもお元気で。僕はとりあえず少しずつでも成長したいと考えています。「どこに向かって」かはよく分かりませんが……。

 

追記:結局体重は二日後に600gほど戻りましたが(やはり水分だった)、出発前から比べると結局400gほど減っていた。あれだけ食べたのに……。まあ約8000kcalほど消費したわけで(サイコンやアプリが正しければ、ですが)、それだけを一日で補給するのは……よほどの大食いでない限り難しいだろう、と思う。ダイエットには向いているが、いささか時間がかかり過ぎるのが難点ですね。ロングライドばかりしているわけにはいかないし……。

 とはいいつつも、冬用のちゃんとしたウェアを着ればもっと楽になれるかもしれない、とか考えている今日この頃です(今までは日中暑いかもと思って秋でも使えるようなウェアを重ね着していた。でもそれだとやはり寒い……。冬には冬用のものを、ですね。はい……)。風邪を悪化させてもっとひどい病気になったらどうしようと心配していたのだけれど、日曜日一日休んだら治っていました。膝も痛くない。自分で自分が結構気持ち悪いです(笑)。左手の親指の付け根にあざができていました。何度も強く握って引き付けて、グッと脚を踏み込んでいたからでしょう。自転車というのは不思議だ。知らない街に自力で行けるというのは素晴らしいことなのだけれど……。

買ってよかったものリスト
ライト:OLIGHT(オーライト) RN1500(https://amzn.to/425lGSa):一番弱い光でも結構明るいし、バッテリーも持つ。最後は充電しながら使っていた。

トップチューブバッグ:ギアトル トップチューブバッグ(https://amzn.to/3PrxINY):小さいけど、モバイルバッテリーを入れるのにちょうど良い。スマホとライトをここから充電していた。細いので、膝に干渉しない。

レッグウォーマー:Morethan サイクリング レッグウォーマー 裏起毛 防寒 MT-FVP-521(https://amzn.to/40lM0pL):このモアゼン(Morethan)というメーカーは安いけど、なかなかデザインもいいし(要するに控えめ)、初心者には手の届きやすいものを作っている。たまにずり落ちてくるけど、これがなかったら夜はもっと凍えていたと思う。

ペダル:SHIMANO(シマノ) SPDペダル PD-M530(https://amzn.to/4j7qlcb)〈注:リンク先はブラックだけど、僕はホワイトをメルカリで購入〉
両面ともSPDになっているため、かなりめやすい。下をあまり見なくてもよくなった。重いのが難点らしいけど、僕はあまり気にしない。

 

 

ジャージ補修シート ブラック(黒) 11cm×32cm(https://amzn.to/3BQwN6R):後日このシートを使って、タイツの膝の穴を補修した。アイロンでくっつけるだけなので簡単だった。良かった……。

村山亮
1991年宮城県生まれ。好きな都市はボストン。好きな惑星は海王星。好きな海はインド洋です。嫌いなイノシシはイボイノシシで、好きなクジラはシロナガスクジラです。好きな版画家は棟方志功です。どうかよろしくお願いします。

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