国道四号線に寄せるブルーズ

この道路をずっと辿たどっていったら

いずれ東京に着ける、と誰かが言った

北は青森へと続いている

寒い、寒い青森

僕はその道を歩いたりはしなかった

というのも東京に行ったところで何かが変わるとは思えなかったからだ

北は青森

南は東京

道路沿いに立ち並ぶチェーン店の看板

家具屋、牛丼屋、マクドナルドに、ガソリンスタンド

空気は悪い

人々は一体何のためにこんなものを作ったのだろう、とときどき思う

もちろん便利であることに間違いはない

しかし、にもかかわらず、そこには一抹いちまつさびしさがただよっている

(と、少なくとも僕は思う)

ギター弾きはこんなところにはいない

というのも車の音がうるさくて、音楽がうまく聞き取れないからだ

チェーン店のファミレス、コンビニ、ガソリンスタンド、リサイクルストア、車の修理工場

この道の先に東京がある、と誰かが言った

北に行くと青森に着く

寒い、寒い青森に

遠くに目を凝らせば田んぼが見える

病院や、人家もある

にもかかわらず、ここには非人間的な何かがある

排気ガスとアスファルト

大型トラック

大型トラック

たとえばアメリカの道路なんかに比べれば

こんなのはまだまだ規模が小さいのだろう

しかし、にもかかわらず、これで十分だと僕には思える

十分不毛なのだ

僕はこの道路を憎み

そして同時にその恩恵にあずかっている

なにしろ走りやすいし、一度乗ったらもう迷うこともないのだから

いつか自分の脚で歩いてみることになるのかもしれない

とときどき思う

でももしそうなったとしても

ギターはかついでいかないだろう

なにしろひっきりなしに続くエンジンの音で

何も聞こえやしないのだから

国道四号線

僕らの生命線

一つの街から

次の街へ

延々と続いていく

東京まで

あるいは青森まで

たくさんの人が生きて

死んでいく

この道路のまわりで

国道四号線に寄せるブルーズは

かなしいものになるだろう

乾いた道路のように

あるいはしとしとと降り続く十二月の雨のように

なにもかもが灰色

しかし我々は

この世界で生きざるを得ない

良くも悪くも

排気ガス

排気ガス

この道を辿たどっていったらいずれ東京に着く、と誰かが言った

北に行くと青森がある

寒い、寒い青森が

ハンドルを握って

アクセルを踏む

変わり映えのしない光景が

窓の外を通り過ぎていく

音楽を聴きながら走ろう

鼻唄を歌いながら走ろう

そうすれば

あるいは

どこか別の場所に行き着けるかもしれない

いつか

ずっと先の未来に

村山亮
1991年宮城県生まれ。好きな都市はボストン。好きな惑星は海王星。好きな海はインド洋です。嫌いなイノシシはイボイノシシで、好きなクジラはシロナガスクジラです。好きな版画家は棟方志功です。どうかよろしくお願いします。

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