素晴らしく美しきもののために僕は祈る
素晴らしく美しきもののために僕は祈る
素晴らしく美しき君のために僕は祈る
素晴らしく美しき夢のために僕は祈る
素晴らしく美しき神のために僕は語る
時が
流れて
時が
無情にも流れて
日々が
過ぎていく
僕はただ
生きている
水が
こぼれて
水が
非情にもこぼれて
夢が
消えていく
君はただ
眠っている
星が
光って
星が
美しく光って
夜が
揺らいでいる
神がただ
それを見ている
素晴らしく美しきもの
素晴らしく美しきもの
死を含んだもの
死を含まないもの
素晴らしく美しきもの
素晴らしく美しきもの
時を抱えたもの
時を抱えないもの
砂が
積もって
砂が
積もり積もって
何かが
埋もれていく
毎日が
積み重なって
ことごとく
積み重なって
結果的に
歴史を形作っていく
その先端に
僕らはいる
おそらく
宇宙を支える三頭のクジラに
昨日会ってきた
一頭は悲しみ
一頭は死にかけ
一頭は歌っていた
彼らは苦しみながらもなお
生きていた
こんにちは、と僕は言う
こんにちは、と彼らは声を揃えて言う
宇宙を支えるのって、さぞかし大変でしょうね、と僕は言う
そうでもないさ、と悲しみが言う
慣れれば大したことない、と死にかけが言う
ラーラーラララー、と歌うたいが歌う
いつか、宇宙も終わるのですか、と僕は訊く
そりゃいつかね、と悲しみが言う
終わりのないものなんてない、と死にかけが言う
ルールールルルー、と歌うたいが歌う
海は
深い
(魂のこだま)
山は
高い
(魂のこだま)
太陽は
明るい
(魂の言霊)
そして
そして?
僕は・・・
君は・・・?
今この瞬間も時は流れていく
ドクドクと
まるで血液のように
それは流れていく
ハックション、と誰かがくしゃみをする
それは奇跡的なくしゃみで
僕は感動して泣いてしまう
どうして泣いているんだ、と悲しみが言う
あまりにも世界が美しいからです、と僕は言う
ならどうしてそんなに悲しそうなんだ、と死にかけが言う
僕らが死にかけているからです、と僕は言う
どうして歌を歌わないんだ、と歌うたいが訊く
僕は・・・と僕は言う
君は・・・?
僕には正しい言葉がない
言葉なんか要らない、と誰かが言う
僕は音痴だ
音痴でも構わない、と誰かが言う
僕は死だ、と僕は言う
君は死じゃない、と誰かが言う
僕は・・・なんでもなしだ
そう、君はなんでもなしだ、と影が言う
今までも
これからも
ずっと
(闇の囁き)
これからなんでもなしの踊りを踊ろう、と誰かが言う
僕はただ青い光を見ている
これからなんでもなしの歌を歌おう、と誰かが言う
僕はただ青い光を見ている
これからなんでもなしの神を讃えよう、と誰かが言う
僕はただ青い光を見ている
君は誰だ?
僕は誰だ?
すばらしく美しきものだ
すばらしく美しきはずのものだ
世界はほら、
また回った
時計回りに
グルグルと
誰にもそれを
止めることはできない
クジラが潮を吹いた
太陽が輝いている
いささか明る過ぎるくらいに
(神様の独り言)
月が言った
君は誰だ?
僕は・・・と僕は言う
ただ青い光を見ている
歌を歌いながら
一人で
ずっと
時が消えるまで