靴紐たちの世界

毎日毎日毎日毎日・・・たくさんの靴紐(くつひも)たちが、結ばれているのです 雨の日も雪の日も、嵐の日も(もちろん快晴の日にだって)靴紐たちは結ばれているのです 彼らは何を考えているのでしょう? 靴の主(ぬし)のことを考え...

新しい夢

新しい夢を見るために、私は今日目覚めてきたのです 新しい響きを辿るために、私は今意識を保っているのです 昨日嗅いだ、排気ガスの臭いが、まだ記憶の扉を、叩いているのです あなたは、今そこにいて、何を見ているのでしょうか? ...

2023年、新しい年。

 明けましておめでとうございます。2023年です。まさかこんな年がやって来るとは誰が予想できたでしょう? まあみんなできたか・・・。とりあえず生き延びてさえいれば一月(いちがつ)には新しい年がやってきます。それが自然のサ...

モロヘイヤ夫人

「モ、モロヘイヤ夫人!」と僕は言った。彼女に会うのは実に30年ぶりのことだった。当時僕はまだ生後六ヶ月くらいの小さな赤ん坊だったのだが、彼女はペースト状にしたモロヘイヤを無理矢理(ミルクに混ぜて、だが)僕に飲ませようとし...

一人の盲目の詩人が

一人の盲目の詩人があちらの世界へと移動するのだが 彼はその事実に気付かない あちらの世界とは死者の世界だ 黒い太陽が地表を照らし 死んだ風が吹き渡る 海は澱(よど)み 川は流れない 時計塔は 同じ時刻を指し続けている 盲...