七月の青空

七月の空は青く高くて どこまでも遠くへと続いているように 見える でもそれはたぶん気のせいで 六月の空が雲に覆われていたからだろう 積乱雲がモクモクと モクモクと モクモクと 上に向けて発展していって やがては雨を落とす...

四月は残酷な月

四月は残酷な月 どろどろと 血が流れて どろどろと 血が流れて 私は あなたの顔を見る あなたは そこにいて でも本当は そこにいない 一瞬ごとに あなたは変わり 一瞬ごとに 私も変わる 四月は残酷な月 暖かい風が吹いて...

亡霊

日曜日の午後 殺された兵士の亡霊がドアを叩く 僕は昼寝から目を覚まし 彼のところに行く もしもし と彼は言う 私の記憶はどこに埋もれているんでしょう? そんなことは分からない と僕は言う でもたぶんきっとここじゃないです...

呼吸

僕はここにいて、呼吸をしている 君はここにいて、呼吸を止めている 電車が通り過ぎて 音を立てて通り過ぎて 窓の外を通り過ぎて いった 夢が いつものあの夢が覚めて 僕は現実に帰還する 君はもうそこにはいない 部屋の空気は...

新しい年

新しい年がやって来て 僕は新しい自分になろうと思う 新しい星がやって来て 君は新しい夜になろうと言う 素晴らしい未来が待っていると 誰かが言った でも 僕は知っている 毎年似たようなことを考えては 結局は同じ結果になるの...

卵の祈り

ああ卵、卵 あなたはどうしてそんなに壊れやすいの? あなたはどうしてそんなに脆(もろ)いの? 僕が作り置きのサラダを取り出そうとしたとき、 どうして一緒に冷蔵庫から飛び出してきたの? 今月これで二度目だ 六個入りのパック...

擦り減った靴に寄せる賛歌

僕は今日靴を買った ランニングシューズと普段履くためのスニーカー よって 今まで履いていた二足の靴を 葬(ほうむ)ることになる 僕は彼らに感謝しなければならない ミズノの黒いランニングシューズ 及び トップサイダーの紺色...

訓示

夜空に輝く星を見なさい その表面に穿(うが)たれた穴を見つけなさい 心を砕いて、水に溶かしなさい 安いアルコールの匂いを嗅ぎなさい 車窓を流れゆく、街の人々のことを思いなさい 曇天(どんてん)を愛しなさい アスファルトに...

もう誰もいなくなった

もう誰もいなくなった 夢を見るものさえいない もう誰もいなくなった 草を食(は)む者さえいない もう誰もいなくなった お前は誰なのか、と訊(たず)ねる者もいない もう誰もいなくなった 神の姿を探し求める者もいない 風が吹...