短編小説 カバ山さん Posted on 2024年9月7日 by 村山亮 / 0件のコメント カバ山(やま)さんは僕の会社の上司で、いつも笑っている。あまりにも大きく口を開けて笑うので、顎(あご)が外れてしまうんじゃないかと心配になるほどだ。でも少なくとも僕の知る限りにおいては、彼の顎は外れたことがない。二、三...
短編小説 空白の男 Posted on 2023年4月14日 by 村山亮 / 0件のコメント 私は名前と顔と、記憶をも失ってしまった。いや、正確に言えばそれらのものは——少なくとも「顔」と「記憶」の一部は——きちんと存在してはいるのだが、私の本来のものではないのだ。私には本能的にそれが分かる。 ある朝起きたとき私...