もし哀しみが背中に貼り付いて取れなくなってしまったなら
もし哀しみがあなたの背中にぴったりと貼り付いて
まったくもって取れなくなってしまったなら
あなたはとことん哀しんで
夜が明けるまで哀しんで
あらゆる世界の屋根が涙で濡れるまで哀しんで
しまえばいい
そうすれば
もしそこまで哀しんだなら
いずれ喜びが
やって来るはずだから
もし苦しみが心に取りついて離れなくなってしまったなら
もし苦しみがあなたの心にしっかりと取りついて
まったくもって剥がれなくなってしまったなら
あなたはとことん苦しんで
うんうん呻りながら苦しんで
すべての家の窓が歪むまで苦しんで
しまえばいい
そうすれば
もしそこまで苦しんだなら
やがて解放が
やって来るはずだから
風
自由な
風
水
透明な
水
私たちは生まれ
生き
そして死ぬ
誰にもその流れを止めることはできない
もしあらゆる光が閉ざされてしまったなら
もしあなたの目から、あらゆる光という光が閉ざされてしまったなら
あなたは闇とダンスを踊ればいい
闇はあなたにぴたりと寄り添って
すべてのステップを正しい位置に修正してくれるから
あなたはただ
あなた自身であればいい
もしそこに死があるのなら
もしそこに暗黒の死があるのなら
あなたはそれを呑み込めばいい
逃げるのではなくて
見えない振りをするのではなくて
一思いに呑み込むのだ
グイッと
ほら、ね
大丈夫でしょ?
僕らは実は死と共に生きていたのだ
ずっと
生まれたときから
ずっと
もし人生が一つの物語だとすれば
始まりと終わりがある一つの物語だとすれば
あなたの役割とは何だろう?
ここでグルグルと回って
時間を浪費する役割だろうか?
それとも主人公を邪魔する
悪役だろうか?
あるいはその辺を通り過ぎる
ただの通行人だろうか?
あなた方は神である、とキリストは言った
らしいけど
僕は何なんだろう?
もし僕の物語が人生だとすれば
いや、違った
もし僕の人生が物語だとすれば
始まりと終わりがある物語だとすれば
今はどの辺なんだろう?
あるいは明日終わるかもしれない
明後日終わるかもしれない
五分後かもしれない
五秒後かもしれない
でもそんなの全然分からないじゃない
本人にはさ
もしあなたが光の影に過ぎなかったとすれば
あらゆる陽光の〈欠如〉に過ぎなかったとすれば
それは一種の救いだろう
なにしろなんにも考える必要がないのだから
キラキラと輝く必要がないのだから
あなたは闇と戯れていればいいのだ
夜がやって来るまで
ずっと
もし人生が続くのだとすれば
いつまでもどこまでも続くのだとすれば
僕たちは一つの透明な流れだということになる
地球は回り続けているし
宇宙は膨張し続けている
らしい
NASAがそう言ったのさ
たぶん
空気の震え
心臓の鼓動
あなたの言葉
僕の言葉
明日何が起こるのかは
誰にも分からない
空白を前にしたら
みんな平等なのだから