こんにちは。マスコットのビギナー君です。
さて、みなさん、ついに九月がやって来ましたよ! 九月ですよ。九月!
いやあ、八月は暑かったですね。もう地獄かと思いましたよ。
僕は実は高校の修学旅行で地獄に旅行に行ったことがあるのですが、あれよりもひどかったな……。え? 地獄はどんなだったって?
ええと……(記憶をほじくり返す)。
そうそう、まず「地獄」っていう馬鹿でかい看板があって(高さ80m、幅50m、厚さ2cm)、そんで、バスを降りると、地獄のおばさんたちが「地獄踊り」というのをやっているんです。あれは二十人くらいいたかな……。そのおばさんたちの踊りのひどいことと言ったら! あれはちょっと言語では表現できませんね(「無気力」と「怠惰」が「狂気」とタップダンスを踊っているみたいな……。いや、無理だ。不可能なのだ。あれは……)。
そのあと地獄池を見に行ったんですが、グツグツと煮えたっていて、硫黄の匂いがしましたね。でもまあ、うちの近所のため池の方がゴミだらけで地獄っぽいですが(カメもいっぱいいる)。
あとはヘビイメタルバンドの演奏を聴いて(これはよかった)、そのあとでクラスみんなで「地獄体験会」をやりました。様々な拷問を受けて、「もう二度とここに来たくない」と自分に(強制的に)思わせるためです。なにしろそうしないと悪はいつも忍び寄って来ますからね……。
え? 拷問? そうそう、まず水責め。縛られて水をぶっかけられて……。全然息ができない。死ぬかと思った。そんでそのあと鞭打ちでしょ。火炙りと、退屈なビデオを何時間も見せられたり……。引率の校長先生のオヤジギャグ一万連発というのもあったな。これが一番の地獄だったかもしれない……。
あれが終わったとき、僕らは心身ともにボロボロの状態でした。「もう二度とこれを体験したくない」と心から思っていたのです。その後宿舎に行き、布団にくるまって、丸太のように眠ったのです。
翌朝起きたら、一人ずつ赤い液体が支給されていました。ペットボトルに入れられていたのです。これは絶対に血だ、と思ったのですが、飲んでみると新鮮なトマトジュースでした。どうも地獄では食料自給率を上げるために、温室でのトマト栽培に力を入れているみたいなのです。それで、そのトマトジュースを飲んだ瞬間、僕らは感動して涙を流してしまいました。間違いなく今までの人生で一番美味しいジュースだったからです。このためだけでもあの拷問を耐える価値があると思いました。そのあと何を体験したのかはもはや覚えていません。
そうそう、お土産に地獄Tシャツを買ってきたのですが、そこにはこんな文字が書いてありました。
地獄は我々の中にある
もしかして本当にそうなのかもしれません。今はもうそのシャツはどこかに行ってしまいましたが。それでは。お元気で。

さて、今年も九月がやって来ました。ようやく涼しくなって、頭もまともに働いてくる頃です。実は私は暑さにやられて、毎年ちょっとした失敗を犯してしまうのが常なのです。去年はランニング中にパトカーに激突したし(パトカーの方が全壊した)、一昨年は川を泳いでいるときに他人のブラジャーを頭に引っ掛けてしまい、そのまま気付かずに街を闊歩かっぽしていたところ、警察に逮捕されました。いやはや。今年はというと……。
そう、今年はあまりにも暑過ぎて、私は無意識に北海道を目指していたみたいなのです。そのような痕跡があります。あとでスマホを確認してみると、徒歩で国道四号線を北上していました(ところどころで写真を撮っていた)。いやはや。よく死ななかったな。
川で水浴びをしたり、親切な方に食料をもらったりしてしのいでいたみたいです。しかし青森に来たときに、どうやって海を渡るのか、という難問がやって来ました。私は頭がおかしくなっていたので、おそらくはフェリーを使うとか、(新幹線で)青函トンネルを通るとか、そういう選択肢は浮かばなかったのでしょう。まず船を自分で作ろうとして、近くの木を歯でかじり始めたのです。このときの話は当時助けてくれた漁師さん一家が教えてくれました。彼らは一心不乱に杉の木に齧り付いている私を見て、哀れに思い、近所の神主さんを連れてきてくれたのです。彼らにはどう見ても私は悪霊に取り憑かれているように思えたみたいです。そこでおはらいを受けると、私は一瞬だけ正気を取り戻しました。「私は……ここで何をしているのですか?」と訊いたらしいです。彼らはありのままを教えてくれました。「あなたはここで木を一心不乱に齧っていたんだよ」と。私はそれを聞いて嘘だと思い、怒り始めました。そしてその場にいた一番華奢な人(漁師のお父さん。御歳82歳)に相撲の勝負を挑んだらしいのです。しかし私は見事に上手投げを決められ、そのまま意識を失いました。蝉たちが一斉に鳴いていたのをぼんやりと覚えています。
その後青森県警の調査を受け、私は釈放されました(嫌疑不十分)。たぶん警察署前の道路に寝転んでいたのですが……漁師さん一家が私を不憫に思い、家に連れ帰ってくれたのです。私は朦朧とする意識の中で、彼らが出してくれたスイカや、何かの魚や、ビーフストロガノフなんかをむさぼるように食べました。そこではっと我に返ったのです。
私は自分の身の上話をしました(彼らは涙を流して聞いてくれました)。私が孤独な老人であること。お金を持っていないこと。プロレスが好きであること。愛に飢えていることを彼らは理解してくれました。彼らは帰りの新幹線代まで渡してくれ、駅まで車で送ってくれました。82歳のおじいさんと私は親友になりました。二人で空手チョップの練習を、新幹線が来るまでひたすらやっていたくらいです(また青森県警に事情聴取された)。私は涙を流しながら青森をあとにしました。そしてこの街に帰ってきたのです。
その後事務所移転の短期バイトに申し込み、なんとかお金を稼いで(汗だくになりましたが)、彼らに送りました。私は久しぶりに温かい気持ちになって、また元の日常に帰ってきたのです。
以上、これが私の八月の物語です。悪くないじゃないかって? そう悪くないのです。人生は。捉えようによっては、ですが。
それでは。皆様。お元気で。

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