さて、僕はこうしてここに座って
夜十一時に机の前に座って
詩を書こうとしている
誰も読まない詩を
さて、時はこうして流れ去って
ぐるぐると、あるいはするすると、流れ去って
夢を押し流そうとしている
海の彼方に向けて
海
海
何もない
海
夜
夜
何かがある
夜
僕はこのようにして
生きてきたわけだけれど(三十年も!)
果たして世界とは何なのか
いまだに理解できずにいる
果たして世界とは何なんだろう
枠組み?
器?
それとも・・・
もっと透明なもの?
いずれにせよ僕に分かるのは
あなたが透明な流れだということ
あなた自身が気付いていなかったとしても
僕には分かる
なぜか、ね
そしてもしそうだとすると
僕もまた透明な流れだ、ということになる
たとえ僕自身が気付いていなかったとしても
まあ、そんな感じかな・・・
もっと若い頃(まあ今だって多少は若いとはいえるのだけれど・・・)
世界はソリッドなものとしてそこにあった
そして僕をアッパクしていた
アッパク
アッパク・・・
でも本当は
僕を圧迫していたのは
僕自身だったのかもしれない
最近ようやくそれに気付いた
何もかも見た目に過ぎなかったのだ
僕はそれに――たぶん――騙されていたのだ
星たちは星ではなく
人々は人ではなかった
風は意味を持たず
水は十分に流れなかった・・・
でもそれは
いろんなものが
そういうコロモをまとっていただけ
コロモ
コロモ・・・
衣を一思いに脱ぎ捨ててしまえば
残るのは
透明な何かだけ
こんこんと湧き続ける
何かだけ
さて、僕はこうしてここに座って
夜十一時に机の前に座って
詩を書こうとしている
誰も読まない詩を
世界はいつだって動き続けている
世界はいつだって動き続けてきた
宇宙はいつだって膨張し続けている
モクモクと
雲みたいに、ね
明日
色んなことが
すごく
大胆に
変わるだろう
ということを
僕は
知っている
でもね
そのことを顔には出さない
なにしろそういうコロモをまとっているから
僕は大人になったのだ
少なくとも外見上は
ということだけれど
僕は昨日生まれた
僕は明日死ぬ
僕は昨日死んだ
僕は明日生まれる
あなたもまた
今もまた
生まれ変わっている
ほら
よく見て!
足元を・・・
死はいつもそこにいる
生はいつも揺れている
私はいつも考えている
何を?
何か、ひどく重要なことを・・・
夢はいつも動いている
穴はいつも震えている
太陽が鼓動を打っている
ドクン、とね
耳を澄ませば
それが聞こえるはずだ
ドクン
また
ドクン
僕は透明な回転となり(ドクン)
地球の真ん中へと下りていく(ドクン)
僕はそこでサンバを踊り(ドクン)
タコスを食べる(美味い!)
別に盆踊りだっていいんだけど
ほら
季節も季節だしね(ボン!)
さて、そろそろ時間だ
もう行かなければならない
なにしろここは戦場なのだから
いつまでもあなたに構っている暇はないのだ
砲弾が
すぐそこに
落ちた(ボム!)
あらゆる人々が
生きては
死んでいった
この世界で
歴史は
降り積もっていく
毎日毎日
確実に
ちょっとずつ、ね
僕は
どうしてか
生きることを
祝福できずにいるけれど(ドクン)
明日こそは
少しくらいは
何かが
変わるかな
と
期待して
います
それじゃあ
さようなら
爆弾に
気を付けて
なにしろ
ここは
愛の
戦場なのだから(ドクン)
おやすみなさい