シェイクスピアに寄せるオード

『シェイクスピアに寄せるオード』

 

シェイクスピア

シェイクスピア

4月23日に生まれ

4月23日に死んだ

シェイクスピア

 

 

ストラトフォード・アポン・エイヴォンの生まれ

18歳のときに8歳年上の妻と結婚した

才能あるウィリアム・シェイクスピア

 

 

あなたの魂は今どこにあるのか?

 

 

僕は決してその多くの作品を読んだわけではないけれど

あなたの生み出した登場人物たちがいまだに生き生きしていることは分かる

それはおそらく正直だからだろう

良くも悪くも

 

 

破滅がそこに迫っている

破滅がそこに迫っている

しかし誰一人それを避けることはできない

なぜならそれが運命だから

 

 

ときどき道化が舞台を飛び跳ねる

彼は私であり、同時に私ではない

彼は影であり、同時に実体でもある

 

 

死の予感が我々を包み込むが

それだけがすべてではない

では何があるのかというと

そんなのは僕には分からない

 

 

おそらく何もかもが時の流れに消え去ったわけではないのだろう

ランカスター家が勝とうと、ヨーク家が勝とうと

今の我々には何の関係もない

明日八王子の気温が何度になるのか、ということの方がずっと大事だったりする

 

 

しかし、にもかかわらずあなたは僕の中にいる

その卓越したリズムと、真実を見る鋭い精神を持って

 

 

僕の詩は韻を踏まないが

どうかそれは許してほしい

なぜならこれは日本語だから

僕はあなたではないのだから

 

 

Rest in peace, William(安らかに眠れ、ウィリアム)

やがて我々自身も

そちらに行くだろう

あと何年かすれば

 

 

2018年4月23日、自宅にて

 

村山亮
1991年宮城県生まれ。好きな都市はボストン。好きな惑星は海王星。好きな海はインド洋です。嫌いなイノシシはイボイノシシで、好きなクジラはシロナガスクジラです。好きな版画家は棟方志功です。どうかよろしくお願いします。

3件のコメント

  1. 拝見させていただきました。
    とても優れた詩でした。
    恐縮なのですが、私に小説を教えてもらえないでしょうか。
    突然のお願い失礼いたします。

    1. はやかわ様。コメントありがとうございます。
      まことに恐縮なのですが、この詩はたぶん優れてはいません。ただ4月23日だったので、まあ書いておこうかな、と思っただけです。でもこのようにポジティブな反応があるということは、もちろん僕としてはとてもうれしいことです。
      小説を教えることは僕にはとてもできそうにはありません。もしできることなら僕自身が誰かに教わりたいと思っているくらいなのですから。
      でも本当の本心においては、やはり自分でなんとか学び取っていくしかないのだろうな、と思っています。「他人と違うものを書く」というのが、小説を書くことの一番の醍醐味〈だいごみ〉であるような気がするからです。

  2. 確かにそうですね。
    これからも応援させていただきます。
    頑張ってください。

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