2024年、2月

寒くなったりあったかくなったり、すごく変な天気が続いている二月だけれど、皆さんはいかがお過ごしでしょうか? 仙台では昨日雪が降って、今日は自転車で移動するのが大変でした。転びそうになりながらなんとか歩道を漕いで・・・危うくバイトに遅れかけたけど、なんとか間に合いました。ふう・・・。

これは帰り。だからまだ走りやすかった。

実は一月七日に実家まで自転車に乗って帰って、そして同じ日に自転車で帰ってくるという荒技を成し遂げたおかげで(往復150kmほど。ママチャリを漕ぎ続けました。ああ疲れた)、左膝を痛めてしまいまして・・・。その後三週間ほどまともにランニングができなくなってしまった。それでもAmazonで膝用サポーターを買って、ガッチリと固めて(走りにくいことこの上ないけど)、ゆっくりとしたペースなら走ることができるようになりました。そしてついこの間、一週間ほど前に、そのサポーターが外れたのです! 嬉しい。これまで結構長くランニングは続けてきたのだけれど、こうやってサポーターなしで、久しぶりに自分の身一つで走れるようになると、爽快感が違います(「走る」という行為の純粋な喜びが、身体に満ち満ちてくる)。まあ今日は雪の中を走ったわけだけれど(おかげで靴が濡れてしまった)。

それはそれとして、自分の中で大きな変化があり、結局また東京に帰ることになりました。引越し予定は三月の中旬だから、まあ仙台には正味しょうみ十ヶ月ほどしかいなかった、ということになります。色々と事情はあるのですが・・・まあまた元の街に戻ります。東京の外れ。いったい俺は何をやっているんだろう、という気持ちになることはある。こうやってアルバイトをして、誰も読まない小説を書いて、賞に落ちて・・・ついに三十二歳だ。金もない。次の初期費用もまた借金だ。まったく・・・。

しかしまあ、去年の五月に宮城に戻ってきて、そんで色々と考えながら結局思ったのは、やはりまだ自分は戻るべきじゃなかった、というようなことだったと思います。まあ場所なんてどこだっていいのだけれど、今の自分にとっては東京にいた方がまだ居心地が良かったのかもしれません(おそらくは「個人的に自分の暗部に目を向ける」という行為が孤独な状況を必要とする)。しかしまあそれが単なる「言い訳」に終わらないためにも、おそらくはペースを守って書き続けることが必要なのだという気がしています。良くも悪くも歳を取ってきて(まだまだ若いと言えば若いのですが、とにかく)、外部の環境に何かを期待する、というようなことはちょっとずつ少なくなってきました。八年前に東京に出て行くときには不安で不安で仕方がなかった。自分がどのような生活を送るのか、という具体的なイメージができなかったからです。どれくらいのお金が必要なのか? どれくらいの時間バイトしなければならないのか? 何を食べて生きていけばいいのか? 運動は? そして小説は?

二年くらいで職業的小説家になっているだろう、という当初の甘い予測は見事に外れ、まあ今でもこうして書き続けています。はい。それでもまあ後悔しているかというと・・・別にそうでもない。このような道筋を辿るしかなかったのだろうな、という諦めのような心境があるだけです。考えていたのだけれど、やはり僕は自分の未来を計算可能なもので固めてしまうことがどうしてもできないのだと思う。もちろん「固めた」と思っても、その通りになることなんか少ないのだけれど。それでも・・・。

きっと「空白」とか「余地」とか、そのようなものを残していたいのだと思います。そうしないと意識が窒息してしまう。毎日毎日、空白と向き合う。何が出てくるのか分からない穴を覗き込む。そんな感じです。イメージとしては。昨日までは予測もしていなかったことを書いている。あるいは予測もしていなかったような世界の一面をしている。それが理想です。そのためには意図的に意図的になる時間を作る必要があります。僕の場合はそれが小説なのではないか、と。

まあそんなことはいいとして――自分にとっては大事なことなのですが、大事だからこそあまり語りたくない――スーパーボウルです。Super Bowl。カンザスシティー・チーフスとサンフランシスコ49ers(フォーティーナイナーズ)が対戦しました。今年はお金がなかったせいでDAZNに登録していなかったこともあり、スーパーボウル以外はまったくアメフトを観ていませんでした。まったく・・・。録画したメジャーリーグをチビチビと見ていた。結果は分かっているのにね・・・(秋にワールドシリーズは終わっている)。しかし去年と同様、140円払えばスーパーボウルが観られるということだったので、腹をくくって観ました。ただライブではなかったけれど・・・。

バイトをしたり、ランニングしたり、文章を書いたりと忙しいので、食事をしているときにだけ、チビチビと観ていたので、結局観終わるのに三日くらいかかりました。その間ニュースで結果を観ないのは至難のわざです。結局一日目の夜くらいにチーフスが買ったというニュースを観ちゃったのかな。決してアンチカンザスシティーというわけではないのだけれど、それでもチーフスは去年も勝っているから今年くらいはサンフランシスコに・・・という思いもあったので、ニュースを観たときはちょっと残念でした。それでも実際に試合を観ると・・・ほとんどの時間サンフランシスコがリードしているじゃないですか! シャナハンヘッドコーチの用意してきたプレーが(彼はランプレーをうまく使う)結構ハマっていました。あとはお互いのディフェンス陣が踏ん張っていた。それでもさすがというべきか、マホームズの魔法のようなパスは後半になってから次々に通り始め、あっという間に追い付いてしまいました。最後はオーバータイムまでもつれ・・・そしてチーフスが競り勝ちました。まあなかなか面白かった。チーフスのタイトエンド、スター選手のケルシー(弟)が良いプレーをするたびに、観客席に駆けつけた恋人のテイラー・スウィフトが映されるのも面白かった。お互いにスーパースターだもんね。僕はイーグルスの兄ケルシーも好きなのですが・・・(素晴らしいセンターである)。

とにかくまあ、金のかかったお祭り騒ぎというような感じで、アメリカでの視聴率はものすごい高いらしいです。アメフトとラグビーの違いが分からない、という方は僕が去年出した『アメリカンフットボール入門~チアリーダーにタックルするなかれ~』という本を読んでください。三日でアメフトのすべてが分かります・・・というのは真っ赤な嘘です。そんな本は出していません。だからそんなに怒らないで。ほら・・・。

僕は毎日そんな風に生きています。バイトをして、ランニングをして、軽い筋トレをして、食事をして、小説を書く(最近は午前に書いている)。謎の不眠に悩まされ、夜中にケルアックを原文で読み(『オン・ザ・ロード』)、意識だけはメキシコの道路に飛び(彼らはついに国境を越えたのだ)、マンボを聴きながらマリファナを吸い(僕ではありません)、ハイになってメキシコシティーを目指す・・・。そのうち眠気もやってきます。東京に行ったところで、急に僕という人間が変わるわけではない。それはたしかだと思う。それでもなお、その「移動」がポジティブな影響を自分にもたらすことを祈るばかりです。まだ色々と手続きなんかは残っているのですが。そして引越し・・・。

また自転車で帰ることも考えてみたのですが、きっと左膝が壊れてしまうだろうということで(まだ違和感が残っている)、おとなしく車で運びます。未来のことを考えると正直怖くなることがある。俺はいつまでこんな境遇のままなんだろう? 一生? あるいはその「一生」だってそんなに長くは続かないかもしれない。俺なんて本当に駄目な人間で・・・。

まあ「駄目な人間」だったとしても、今この瞬間ちゃんとできることがあるはずです。元気になるとそう思うことができる。実際に行動に移しているときは人はそれほどネガティブにならないみたいですね(まあ少なくとも僕はそうです)。だからいろんな予想とか、計画作りとか、ほとんどやめて、自分のやりたいことのビジョンがあるとしたら、それを分割して、分割して、さらに分割して・・・という分割法を取るのが一番なんじゃないか、とこの歳になって思うようになりました。先のことを考え過ぎたって仕方がないからです。たとえば小説を書くとしたら、全体像のことなんか考えずに、今ここに集中する。一行。いや、一文字。それでいい。それだけでいいから。次のことはまたそのときに考えればいいのだ・・・。

仕事が嫌だったとしても、それを全体として捉えるのではなくて、一日のタスクを分割し、さらに分割し、さらに分割し・・・。そうすると最初の一歩を踏み出すのが楽になると思いませんか? 結局何をするにしたって現実に自分の身体を動かして、現実に行動するしかないのだから、それほど考えても仕方がない。まあこれはこれで健全な思想のような気はしますが・・・。

プラス、その中で自分を鍛えていくこと。ほんのちょっとずつでもいいから、昨日より前進すること。うん。言うのは簡単だけど、実行に移すのはなかなか難しそうですね。でもとにかく、健康を維持していれば、可能なのではないか、と思いつつあります。規則正しい生活。それが一番かもしれない。その中で、少しずつ少しずつ意識は狂気に近付いていくこと。なぜならそこにこそ僕の真に求めているものがあるはずだからです。今はまだ探っている途中ではあるけれど・・・。

三十二になっていまだにくすぶっているというのも、まあ捉え方によっては悪くないのかもしれない、と思うこともあります。要するに伸び代がある、ということなのだから。まだ固まっていないし、プラス、向上心がある。暗い気持ちになることはあるけれど、まだまだ身体は動くし、できることもたくさんある。諦めないことだけだぜ。コツコツと、積み重ねて・・・。

ということで、今日は寝ます。皆さん。お元気で。

雪に覆われた田んぼ・・・。さすが東北。降るときは降りますね。当たり前と言えば当たり前なんだけど。
村山亮
1991年宮城県生まれ。好きな都市はボストン。好きな惑星は海王星。好きな海はインド洋です。嫌いなイノシシはイボイノシシで、好きなクジラはシロナガスクジラです。好きな版画家は棟方志功です。どうかよろしくお願いします。

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