昨日は文句なしのアップルパイ日和だった
日曜日で、空は青く晴れ渡っていた
雲一つない
空気は乾燥していて、温かく、すべての生命を祝福していた
そういう日には人はアップルパイを焼かなければならない
たとえどのような用事があったとしてもだ
ということで僕はアップルパイを焼くことにした
ちゃんと生地から作って
強力粉と薄力粉
バター(200グラム)
冷水
リンゴをむいて
ついでに洋梨も入れた
ラム酒の香り
シナモンの香り
世界は我々を祝福している
しかし僕にはほかに仕事があるし(小説を書かなければならない)
それにクッキングペーパーと、ほかにもいくつかの材料が揃っていなかった
さらにいえば、時間もかなり遅くなっていた
ということで月曜日の今日
アップルパイを焼いている
残念ながら今日は昨日ほど天気が良くない
空気もすべての生き物を祝福しているわけではない(ごく一部だ)
しかし細かいところを気にしている場合ではない
なにしろもう生地はできているし
煮られたリンゴは、その上に載せてもらうのを今か今かと待っているからだ
今日は正直なところアップルパイ日和ではないだろう
どちらかというとアジの干物日和だ
しかしすべての条件が揃うということは人生においてめったにない
僕はこれまでの人生においてそのことを嫌というほど思い知らされてきた
かつてレイモンド・カーヴァーはソーダクラッカーについての詩を書いた
そして自分がソーダクラッカーについての詩を書けることを心から感謝し、喜んでいた
一方僕はアップルパイについての詩を書く
生地から作った手作りアップルパイを
そんなことを言っているうちにほら
そろそろ焼き上がる時間だ
バターの良い香りが漂ってくる
ふと、生きることもそれほど悪くないのかな、と思ったりする
でもまあ、細かいことはもういいだろう
そろそろ行くべき時間だ
どこへ?
そればかりは行ってみないと分からない
実際に辿り着いてようやく
自分が何を求めていたのかを知るんだ
いつだって同じさ
まあ
あとでちゃんと報告するよ
とりあえずアップルパイを食べたあとでね
2018年11月26日、自宅にて