閉鎖回路 (2)

その日職場では無許可で診療を行っている医師のことが話題になった。彼らは司直の目を逃れ、人々に非科学的な治療を行っているということだった。もちろん保険は効かない。人々は全額自己負担でその治療を受ける。   「彼ら...

閉鎖回路 (1)

頭が締め付けられるように痛い。ここ最近痛みが激しくなっているような気がする。私はその場で目をつぶり、ただじっとして頭痛が去っていくのを待った。頭の奥の方で変な音が繰り返し鳴っている。それは女の叫び声のようにも聞こえるが、...

海が   僕の前に 広がっていて   どこまでも 海が 広がっていて   僕は   海の 上に立っていて   風が 吹いて   カモメが   白い &...

西暦2999年

朝起きると西暦2999年になっていた。   間違いではない。突然のそのニュースは多くの人を戸惑わせたようだったが(なにしろ昨日は西暦2016年の12月20日だったのだ)、それは政府の公式見解として発表されものだ...

隣人

それは気持ちの良い九月の土曜日だった。午後二時で、僕は昼食を食べた後腹ごなしに近くの公園に散歩に来ていた。僕はいつも座る指定席のベンチに腰掛け、ポケットから文庫本を取り出して読み始めた。何分か経ったあと、ふと顔を上げると...

海を渡る風 風を渡る海   空を飛ぶ鳥 鳥を飛ぶ空   降り注ぐ日光 その裏にできる影     僕は街を歩き 街は僕を歩き   雑踏に耳を澄ます 雑踏が僕に耳を澄ます &...

今日は朝から雨だ そんなに 強い 雨じゃない でも雨は雨だ 雨の音は 聞いていると なぜか 落ち着く それは 高度何フィートだかから 落ちてきて 今 僕の部屋の窓枠(まどわく)に落ちた それは長い旅なのか それとも 瞬(...