Virgil Anderson(バージル・アンダーソン)(1890-1938)作
“I’m not me”(『私は私ではない』)(1935)の翻訳
私は私でありながら
私ではない
あなたはあなたでありながら
あなたではない
死が私を覆い尽くすとき、私は生きている
生が私を照らすとき、私は死んでいる
木の根が、
太い木の根が地面から張り出していて、その小さなアーチを、今リスがくぐった
私は虫ではない
鳥でもないし、リスでもない
でも人間なのか、本当に人間なのか、と問われると、いまいち自信が持てない
あなたはどうだろう
あなたはあなたなのだろうか?
あなたは、あの塀に止まっているカラスではないのか?
私は意味のないことを言っている
こんなことを言っていると、そのうちまた精神病院に連れて行かれるかもしれない(あの食事のまずさときたら!)
腕を上げて、右上を見る
膝を曲げて、左下を見る
この身体は、本当に私のものなのだろうか
私は、本当に私なのだろうか
あなたには分かっているのだろうか
我々とは一体何なのか
細い木の枝に小鳥が止まって、歌うように小さく鳴いた
私の影が立ち上がり、言う
君が俺の影なんだ
私に一体何が言えただろう?
そんなとき、人は一体何を言えばいいのか?
「でもまあとにかく」とそのときの私は言った
「一杯やろうじゃないか」
人生は過ぎ去ってしまった
あっという間に、どこかへ流れ去ってしまった
時は残酷で、無慈悲だ
死は動かしがたく、生は悲しい
宇宙にはいくつもの星があるが
どれも変わらず、孤独だ
昨日道端で猫を呼んだが、彼(あるいは彼女)は警戒してこちらを睨んだあと、どこかへ消えてしまった
海底に潜むクジラが(彼もまた孤独なのだが)時々話しかけてくる
よお、兄さん
なんだい?
海の底っていうのもさ、悪くないぜ
彼はアルコールの潮を吹いた
私は今透明になりつつあって(あるいはただ頭がおかしいだけなのかもしれないが)
あなたの中に入り込もうとしている
肉体を持たないただの風となって
あなたの肺に吸い込まれようとしている
でもどうか拒否しないでほしい
そんなに嫌そうな顔をしないでほしい
悪いことは何もしないから
良くも悪くも、私にはもうそれほどの力は残っていない
私はただ、経験したいのだ
あなたがあなたであるというのが、一体どういうことなのかを