一人の盲目の詩人が

一人の盲目の詩人があちらの世界へと移動するのだが 彼はその事実に気付かない あちらの世界とは死者の世界だ 黒い太陽が地表を照らし 死んだ風が吹き渡る 海は澱(よど)み 川は流れない 時計塔は 同じ時刻を指し続けている 盲...

今ここにいる俺は

今ここにいる俺は 昨日の俺とは違っている それがたぶん 結構重要なこと 今ここにある夢は 昨日の夢とは違っている それもたぶん それなりに重要なこと 君はそういえば 昨日 ほとんど生きる意味がない、って言っていたけど 「...

君はあの夕空を見たか

君はあの夕空を見たか 夏の高い空間にモクモクと雲が湧き上がって その奥から太陽が 我々を照らしている あの光景を見たか? 雲の下には影があり 雲の奥には空気の渦(うず)があり その下に鳥が飛び 我々がいる その光景を見た...

もし哀しみが

もし哀しみが背中に貼り付いて取れなくなってしまったなら もし哀しみがあなたの背中にぴったりと貼り付いて まったくもって取れなくなってしまったなら あなたはとことん哀しんで 夜が明けるまで哀しんで あらゆる世界の屋根が涙で...

愛の戦場

さて、僕はこうしてここに座って 夜十一時に机の前に座って 詩を書こうとしている 誰も読まない詩を さて、時はこうして流れ去って ぐるぐると、あるいはするすると、流れ去って 夢を押し流そうとしている 海の彼方に向けて 海 ...

素晴らしく美しきもの

素晴らしく美しきもののために僕は祈る 素晴らしく美しきもののために僕は祈る 素晴らしく美しき君のために僕は祈る 素晴らしく美しき夢のために僕は祈る      素晴らしく美しき神のために僕は語る 時が 流れて 時が 無情に...

七月の青空

七月の空は青く高くて どこまでも遠くへと続いているように 見える でもそれはたぶん気のせいで 六月の空が雲に覆われていたからだろう 積乱雲がモクモクと モクモクと モクモクと 上に向けて発展していって やがては雨を落とす...