啓示 1
「俺は今日の午後9時28分に死ぬ」と彼は言った。 彼はわざわざ僕の職場に電話をかけてきてそう言ったのだ。俺は今日の午後9時28分に死ぬ、と。僕が仕事中携帯の電源を切っているのを知っていて、わざわざ会社にまで...
「俺は今日の午後9時28分に死ぬ」と彼は言った。 彼はわざわざ僕の職場に電話をかけてきてそう言ったのだ。俺は今日の午後9時28分に死ぬ、と。僕が仕事中携帯の電源を切っているのを知っていて、わざわざ会社にまで...
『護符 1』の続き 彼らは具体的な計画を立てることにした。まずなんとかして青年を「解体する」必要がある。しかしそれはすぐに、この場でできることじゃない。だってそんなことをしたら彼は実際に死んでしまう可能性が...
日曜日、彼の正餐せいさんは午後3時に始まる。もちろんいつもそんな時間に食事を取るわけではない。普段の正餐せいさんは午後7時とか、7時半とか、まあそれくらいだ。なぜ日曜日に限って午後3時なのかというと、それは夜に大事な用が...
昼間に眠るといつも嫌な夢を見る。僕は昼食のあと、ソファでうとうとしていた。その日感じた眠気は圧倒的なものだった。僕は読んでいた本を床に落とし、目をつぶって夢の世界に入った。まるで何かが――何なのかは分からない――僕の身体...
『死について 1』の続き 会社で仕事をしている間にも、僕は彼のことを考え続けていた。果たして本当に彼の言った通りなのだろうか? 彼の右腕は、実際にほかの誰かのものと取り換えられていたのだろうか? もちろん常...
「さっきまで死のことを考えていた」と彼は言った。僕は何も言わず、ただその続きを待っていた。電話越しに聞こえる彼の側がわの沈黙は、なぜかひどく重たく感じられた。 「実を言うと今日一日ずっとそのことを考えていた...
朝起きると私はワニになっていた。といっても姿形すがたかたちがワニになったわけではない。あくまで意識がワニになったということだ。もちろん今このように回想できていることからして、100パーセント完全なワニになったというわけで...
「口内炎に寄せる哀歌あいか」 ああ口内炎、口内炎 三つもできた口内炎 右と、左と、舌の上 白く固まり、そこに居座る 彼らは 戦時中の日独伊三カ国のように ごく実利的に結びついている その目的は...
2017年12月12日、火曜日。久しぶりにアルバイトが二日連続で休みになったので、新宿まで遊びに行くことにする。この前都心に出たのはたしか7月の始めだった。それ以来ろくに電車にも乗らなかった。普段は自転車で生活をしている...
12月2日。土曜日。今日久しぶりに駅前まで自転車を漕いでいって、新しい来年用の手帳を買いました。一口に手帳を買うといっても、実際に商品を見てみるといろいろあって悩むものです。なんでもいいような気もするし、かといって一年中...