海を渡る風
風を渡る海
空を飛ぶ鳥
鳥を飛ぶ空
降り注ぐ日光
その裏にできる影
僕は街を歩き
街は僕を歩き
雑踏に耳を澄ます
雑踏が僕に耳を澄ます
木を撫で
木が僕を撫で
木陰に腰を下ろす
木陰が僕に腰を下ろす
そして
明日とあさってのことを
考える
昨日と一昨日のことを
考える
来年と再来年のことを
考える
去年とおととしのことを
考える
善と
悪
光と
影
生と
死
試しに「今」のことを考えると
影はいなくなってしまう
楽器を弾くことができたらな
と
僕は思う
あるいは
上手く歌を歌うことができたらな
と
そうすれば
何も考えなくてすむのに