パンケーキ中毒

 その年私は重度のパンケーキ中毒に苦しめられていた。  寝ても覚めても頭の中にはパンケーキのことしかなかった。白い皿に載せた焼きたてのパンケーキ。バターとメープルシロップの香り・・・。  もちろんカロリーのことを考えて日...

エアダスター

「昨日エアダスターを買った」と彼は言った。 「エアダスター?」」と僕は言った。「なんだそれ?」 「圧縮空気が入っている缶のことだよ」と彼は言った。「パソコンの調子が悪くてさ、それで調べてみたらどうも埃(ほこり)が詰まって...

白い部屋 (3)

『白い部屋 (2)』の続き   気付くと僕はあの白い部屋に戻っていた。壁の揺れはすでに完全に収まっていた。僕は一人ベッドに腰掛け、左手には例のプラスチックのスプーンを力強く握り締めていた。今見た不思議な幻想につ...

白い部屋 (2)

『白い部屋 (1)』の続き   気付くとすでに移動は完了していた。僕は今一つの視点となり、一人の男の姿を見つめている。いや、違うな、とすぐに思い直す。僕は視点なのではなく、一つの壁になっているのだ。生きている壁...

白い部屋 (1)

それは白い部屋だった。もうしばらく前からここにいる。広さは六畳ほどで、隅の方に鉄製のベッドがある。その反対側には小さな仕切り板があり、奥にむき出しの便器が設置されている。そちら側の壁の上部には手洗い用の小さな水道が付いて...

救出

今日僕は居残りを命じられた。宿題だった漢字練習のプリントを家に置き忘れてきてしまったのだ。よりによってこんな日に。というのも、いつもはクラスに何人かほかにも忘れる人がいるのだが、なぜか今日に限ってそれを持ってこなかったの...