啓示 1

「俺は今日の午後9時28分に死ぬ」と彼は言った。   彼はわざわざ僕の職場に電話をかけてきてそう言ったのだ。俺は今日の午後9時28分に死ぬ、と。僕が仕事中携帯の電源を切っているのを知っていて、わざわざ会社にまで...

護符 2

『護符 1』の続き   彼らは具体的な計画を立てることにした。まずなんとかして青年を「解体する」必要がある。しかしそれはすぐに、この場でできることじゃない。だってそんなことをしたら彼は実際に死んでしまう可能性が...

護符 1

日曜日、彼の正餐せいさんは午後3時に始まる。もちろんいつもそんな時間に食事を取るわけではない。普段の正餐せいさんは午後7時とか、7時半とか、まあそれくらいだ。なぜ日曜日に限って午後3時なのかというと、それは夜に大事な用が...

白昼夢

昼間に眠るといつも嫌な夢を見る。僕は昼食のあと、ソファでうとうとしていた。その日感じた眠気は圧倒的なものだった。僕は読んでいた本を床に落とし、目をつぶって夢の世界に入った。まるで何かが――何なのかは分からない――僕の身体...

死について 2

『死について 1』の続き   会社で仕事をしている間にも、僕は彼のことを考え続けていた。果たして本当に彼の言った通りなのだろうか? 彼の右腕は、実際にほかの誰かのものと取り換えられていたのだろうか? もちろん常...

死について 1

「さっきまで死のことを考えていた」と彼は言った。僕は何も言わず、ただその続きを待っていた。電話越しに聞こえる彼の側がわの沈黙は、なぜかひどく重たく感じられた。   「実を言うと今日一日ずっとそのことを考えていた...

ワニ

朝起きると私はワニになっていた。といっても姿形すがたかたちがワニになったわけではない。あくまで意識がワニになったということだ。もちろん今このように回想できていることからして、100パーセント完全なワニになったというわけで...

ゴリラの生る木

ぼくは今日おつかいを頼まれた。丘の上にあるゴリラの生なる木のところに行って、「小さいゴリラ」と、「中くらいのゴリラ」と、「大きいゴリラ」を摘んでくるよう言われたのだ。   「あなたももうそれくらいはできないとね...

死のコーヒー

昨日の朝、私は淹いれたてのコーヒーに死を入れて飲んだ。それは近所のスーパーで買ってきたもので、国内産のオーガニックだということだった。確かに飲むとそれは自然な死の味がした。限りなく生に近い死だ。   &nbsp...

怠け者

僕の隣では怠(なま)け者が酒を飲んでいた。怠(なま)け者は一日中怠けていて、両親の仕送りで生活をしていた。シャツの襟(えり)はだらしなくよじれていて、第一ボタンが第二ボタンの穴に入れられていた。彼はなぜかハイボールしか飲...