世界文学ウェハース

「ちぇ、またスメルジャコフかよ!」と少年の一人が言った。僕はコンビニで働いているにもかかわらず(もう四年目になる)、そんなお菓子が発売されていることに今までまったく気付かなかった。  イートインコーナーに近づくと、五人ほ...

空白 2

「空白 1」の続き  ポトリ、ポトリ、とその音は鳴っていた。どこから聞こえるのだろう、と僕は思う。それはこことは違う、どこかずっと遠くの場所で鳴っているように聞こえる。それはただの水なのだろうか? あるいは何かまったく別...

空白 1

「昨日俺はある重要な事実に気付いた」と彼は言った。 「重要な事実?」と僕は言った。 「そうだ」と彼は言って頷(うなず)いた。「非常に重要な事実だ」 「それはつまり・・・どういうことなのかな?」 「それは、だ」と彼は言って...

パンケーキ中毒

 その年私は重度のパンケーキ中毒に苦しめられていた。  寝ても覚めても頭の中にはパンケーキのことしかなかった。白い皿に載せた焼きたてのパンケーキ。バターとメープルシロップの香り・・・。  もちろんカロリーのことを考えて日...

エアダスター

「昨日エアダスターを買った」と彼は言った。 「エアダスター?」」と僕は言った。「なんだそれ?」 「圧縮空気が入っている缶のことだよ」と彼は言った。「パソコンの調子が悪くてさ、それで調べてみたらどうも埃(ほこり)が詰まって...

白い部屋 (3)

『白い部屋 (2)』の続き   気付くと僕はあの白い部屋に戻っていた。壁の揺れはすでに完全に収まっていた。僕は一人ベッドに腰掛け、左手には例のプラスチックのスプーンを力強く握り締めていた。今見た不思議な幻想につ...

白い部屋 (2)

『白い部屋 (1)』の続き   気付くとすでに移動は完了していた。僕は今一つの視点となり、一人の男の姿を見つめている。いや、違うな、とすぐに思い直す。僕は視点なのではなく、一つの壁になっているのだ。生きている壁...