救出

今日僕は居残りを命じられた。宿題だった漢字練習のプリントを家に置き忘れてきてしまったのだ。よりによってこんな日に。というのも、いつもはクラスに何人かほかにも忘れる人がいるのだが、なぜか今日に限ってそれを持ってこなかったの...

自由という名の牢獄

私は自由という名の牢獄に閉じ込められている あなたは疑問に思うかもしれない 自由とは果たして牢獄なのか、と 自由とはむしろ牢獄から出ることではないのか、と それは正当な疑問だが、私には何の意味もない なぜならほかの人にと...

Live Magic 2018 (1)

プロローグ 2018年10月19日、金曜日。自宅にて。 秋になるといつも死のことを考える。それはおそらくあの乾燥した風の中に、冷やりとする冬の気配が潜んでいるからだろう。うだるような暑さが終わり、湿気を含んだ重い空気の層...

死の来訪

天気の良い土曜日の午後二時、部屋で気持ち良くうたた寝をしていると、突然ドアベルが鳴った。僕はまだ半分夢の世界にいながら、その音を聞いていた。それは最初遠い汽笛のように聞こえたが、やがて耳障りな女の叫び声になり、最後にはま...