第二次ポエニ戦争

ふと目を覚ますと、隣には第二次ポエニ戦争が眠っていた。私は恐る恐るその肩をつついてみたのだが、彼(あるいは彼女)は全然目を覚まさなかった。一体何が起こっているのだろう、と思ってあたりを見回したが、部屋には普段と変わったと...

歩くこと

そのとき僕はずいぶん長く街を歩き回っていた。季節は冬で、これからさらに寒くなろうとしていた。僕はコートのポケットに両手を突っ込み、マフラーに顎あごをうずめて、黙々と歩き続けていた。どこか目的地があったわけではない。ただそ...

啓示 3

『啓示 2』の続き   『啓示の物語』(肉付け版)   (便宜的に、これから死ぬ方の青年を「X」、それを見届ける方の男を「A」と呼ぶことにする。ちなみにどうして彼が「X」なのかというと、「その方が『B...

啓示 2

『啓示 1』の続き   彼はそこで突然話をやめ、何か飲みものはいらないか、と訊いてきた。僕はそんなことよりも早く話の続きが聞きたかったのだが、それでも確かに喉が渇いていた。なんでもいい、と僕は言った。 &nbs...

啓示 1

「俺は今日の午後9時28分に死ぬ」と彼は言った。   彼はわざわざ僕の職場に電話をかけてきてそう言ったのだ。俺は今日の午後9時28分に死ぬ、と。僕が仕事中携帯の電源を切っているのを知っていて、わざわざ会社にまで...