詩 『この痛みと悲しみの国で』 Posted on 2016年11月26日 by 村山亮 / 2件のコメント Virgil Anderson (バージル・アンダーソン) (1890-1938) 作 “In this country of pain and sorrow” (『この痛みと悲しみの国で』) の翻訳 この痛みと悲しみの...
詩 二本の平行線の間で Posted on 2016年11月24日 by 村山亮 / 0件のコメント 二本の平行線の間に僕はいる 上の線が風で下の線が水だ 僕はその二つの流れのちょうど真ん中にいて ただ移動している 二本の平行線はどこまでいっても交わらないらしい 上の線が風で下の線が水だ 僕はその二本の透明な直線の間にい...
詩 岩手山 Posted on 2016年11月24日 by 村山亮 / 0件のコメント 青空に 映える 岩手山 僕の 頭は 今 空っぽ 岩手山は ずっと前から そこにいる 彼は 何を 考えているのか 岩手が岩手になる前に 日本が日本になる前に 岩手山は...
詩 サイクル Posted on 2016年11月22日 by 村山亮 / 0件のコメント 春は匂(にお)やかな風 蠢(うごめ)く虫と それを啄(ついば)む鳥 肌に感じる生温かい空気 地面に広がる クローバー 我々は生きている 梅雨(つゆ)は灰色の空 ナメクジと 濡れたアスファルト 水たまりを踏む 車の音 雨は...
短編小説 自転車 Posted on 2016年11月17日 by 村山亮 / 0件のコメント 彼は自転車に乗って、一晩中都心に向けて走り続けていた。走り続けていればあれから逃れられるのではないかと思ったからだ。なぜ都心なのかは分からない。目的地なんてどこでもよかったような気もする。しかし走り続ける以上どこかに向か...
短編小説 魔女 Posted on 2016年11月17日 by 村山亮 / 0件のコメント 彼女はもう長年魔女をやっていて、そのとき大きな鍋の中身を木べらでかき回しているところだった。その中身が何なのかは分からなかったが、辺りにはなかなか良い匂いが漂っていた。 「蝦蟇がまの胆嚢たんのうとか、トカゲ...
短編小説 秘密 Posted on 2016年11月3日 by 村山亮 / 0件のコメント そのことに気付いたのは夜のことだった。布団に入ってさあ眠ろうと思った瞬間に、それはどこからともなくやって来た。始め僕はそれを上手く飲み込むことができなかった。あまりにも突拍子もない考えのように思えたからだ。でも時間が経つ...